TOPOP《青》

Episode36 ページ37

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やっぱり彼はマルやった。

全然変わってへん。

まぁ、会うのは１年振りやしね。









バーテンは席を外し、

お互いの近況を報告し合った。









「で、今は何してんの？」


「今は、まぁ、バイトしたり、色々？」









マルは僕が運び屋してるって言うたら

どうするやろ？

引くかな？軽蔑するかな？









もう汚れてしまったこの手を、

また握ってくれるんかな？









また隣で笑てくれるんかな？









「あっ、せや。せっかく会えたんやし連絡先教えてや」


「ええで」









携帯を取り出して連絡先を受信している間に

僕の中にある考えが浮かんだ。









マルと僕では住む世界が違い過ぎる。









マルは自分のやりたいことを見付けて、

それと向き合って頑張ってる。









でも僕は弱い自分から立ち直れへんで、

逃げてばっか。









この汚れてしまった手で

マルに触れることなんて出来ひん。









この汚れてしまった僕が

マルと同じ道を歩くなんて出来ひん。









「マル、僕明日も早いから帰るな」


「そうなん？ほな、またね」


「おん。また」









社会人の"またね"なんて只の社交辞令。

また、が来る日なんてない。









それでも良かった。

僕のせいでマルまで汚れてしまうくらいなら、

もう会わない方がいいに決まってる。









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