夜の食卓 ページ36
「それで…何の用ですか?」
男「探しているんですよ。人を。」
「成る程。ですが私はお巡りさんでも何でも有りませんからねぇ?」
男「ふふふ………もう分かっているんじゃないですか?」
男は口角を上げる。
「っふ………でしたら……貴方の望む人は居ませんよ?」
紅茶をすすってAは答えた。
男「おや…?そうでしたか?」
いつもは皆が囲んでいた食卓は今は二人が支配していた。
そしてその支配されている食卓の周りを手下が囲む。
この男が例の組織のボスだと言うことは分かりきっていた。
ボス「まあ……居ないのも当然でしょうねぇ。」
「何故そう思うんですか?」
笑いながらAは聞いた。
ボス「鏡が金色に輝いていましたよ?」
「ふふふ……人の部屋を勝手に覗くだなんてはしたない。」
声は笑っているように聞こえるが目は笑っていない。
黒く何処までも深い。
ボス「それはそれは。申し訳ありませんでした。」
男もまた声は笑っているように聞こえるが目は笑っていない。
ボス「どちらにせよ………貴方の涙から生まれる結晶はもう必要ありません。無駄だと分かりましたから。」
「では何故ここに来たのですか?」
二人の会話は静かだった。
手下達もその空気がいやに張りつめていてあまり良い気はしなかった。
ボス「貴方の魔術、ですよ。」
「成る程。あなた方の目的は把握しました。ですがお断りします。」
鋭い眼光は男の目をじっと見た。
ボス「っふふ……まあ、そう言うことは想定していました。でも……もう、貴方に感情も、記憶も無いんですから…断る理由も無いんじゃありませんか?」
この言葉に手下達は耳を疑った。
「………………。」
Aはカップを置き口を開いた。
「確かに。そうかも知れませんね。今私は僅かな感情と記憶しかありません。ですから周りにいる方々の名前さえもあまり覚えてません。」
手下一同「っ?!」
ボス「そうでしょう。」
男はくすりと笑った。
「ええ。ですが、それでも僅かに残っています。」
ボス「成る程。では貴女の目的は?一体なんなんです?周りの人間が命の危機に陥らないように消したとはいえ、理由は?目的は?そもそもヴィランズに愛などと言うものがあるんですか?」
「目的ですか?それは記憶を失った以上分かりません。ですが」
そこで一旦Aは言葉を切った。
「愛が無いわけじゃない。与えてくれたんだよ。彼らが。」
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オクトパス(プロフ) - ポップスさん» あ、ありがとうございます! (2017年9月12日 18時) (レス) id: 9001e4cb89 (このIDを非表示/違反報告)
ポップス - 面白いです!キュンキュンしちゃってます!ジャックハートのパンの話、可愛いです! (2017年9月12日 18時) (レス) id: 4fc279d8fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オクトパス | 作成日時:2017年8月25日 22時