未来 ページ29
シリキ「予言の書にはその名の通り未来の出来事が書かれている。だがその未来は自分の行動でいくらでも変えられる。しかし変えることの出来ない未来もある。」
予言の書は目が追い付かない速度でどんどんめくれていった。
するとあるページで本はめくれなくなった。
そのページには倒れているAが描かれていた。
ダルメシア「A……?」
彼女を取り囲む様に手下である皆が描かれていた。
顔を背ける者。泣き崩れる者。手で顔を覆いつくす者。
シリキ「Aの死が描かれている。不老不死とはいえ、事故死しない訳でも殺されない訳でも無い。彼女の死因はお前達を庇うことによる。」
一同「?!」
シリキ「例えお前達が止めようとしてもAは自分の人生を犠牲にする。そこまでしてもお前達を守ろうとする。いくらお前達がもがこうともこの運命は変えられない。」
ジャック「そんな……訳……」
シリキ「いや、ある。そして、Aはこの事を知らない。」
予言の書はパタリと閉じ音も立てずに静かに乗っていた。
そして一同が気付かぬうちに消えていた。
シリキ「Aは我々の為に充分以上に尽くしている。Aを雇っている身として彼女に必要な物を与える義務がある。」
シリキ・ウトゥンドゥの声は一同の胸にずっしりとなにかを落とすようだった。
シリキ「そこでお前達に頼み事がある。」
一同「?」
ゆっくりと皆顔を上げた。
シリキ「Aの残り少ない時間を一緒に過ごしてやってくれ。なるべくAに幸せを感じさせてやれ。死ぬ時に後悔させないくらいの幸せをな。」
シリキのその言葉はとても大きかった。
すると、シリキの声は一切聞こえなくなった。
ヴェール「死んでしまいますの?」
スキャター「必ずしもそうなるとは…」
エイトフット「限る。」
一同「……。」
エイトフットの言葉に誰もが口を噤んだ。
「わー皆どうしたの?」
その声は
死んでしまうAの声。
「なんか元気ないね?ちゃんと寝た?」
何も知らないA。
その笑顔が
言葉が余計と胸を苦しめた。
エイトフット「寝てろっつっただろ。」
「……ずっと寝てると気が狂いそうだったから。」
へへへと笑いながらAは言葉を連ねる。
エイトフット(お前のそういうとこ本当に嫌いなんだよな。何で…何でお前は…いつも俺達を俺達なんかを……)
つい先程のAの言葉。
『あなた達を守る為だったとして、死んだとしても後悔はしない。』
お前って奴は……
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オクトパス(プロフ) - ポップスさん» あ、ありがとうございます! (2017年9月12日 18時) (レス) id: 9001e4cb89 (このIDを非表示/違反報告)
ポップス - 面白いです!キュンキュンしちゃってます!ジャックハートのパンの話、可愛いです! (2017年9月12日 18時) (レス) id: 4fc279d8fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オクトパス | 作成日時:2017年8月25日 22時