出会う時間 ページ3
インパクトとしてはこれ以上ないほどの台詞とともに殺せんせーが3年E組の担任となって早一週間。
E組の面々は少しずつ、この状況に適応しつつあった。
「6時間目小テストか〜」
「体育で終わって欲しかったよね」
「ねー、早く帰ってお風呂入りたい。汗かいたー」
「あはは、Aらしいね」
体育で疲れた身体に追い打ちをかけるように組まれた小テストに文句を言う杉野と渚。
それに同調しぼやいたAの台詞に、カエデは苦笑いを浮かべた。
「だってさー、汗かいたまんまテスト受けたって気持ち悪くて集中できないよ...んぅ？」
口を動かすのに夢中になっていたAは、前を歩いていた渚が立ち止まったことに気付かずにぶつかってしまった。
「あ、ごめん...ん？」
何だろう...これ。気のせいだろうか、空気がピリついてる。
なんとも言えない気配を感じたAは、思わずその持ち主を探す。
ふっと前を向いて、視線をあげると、校舎の前の階段の上から一人の生徒が彼らを見下ろしていた。
「よお、渚くん、久しぶり」
鮮やかな赤い髪に光る目は、逆光でできた影の中でもよく見える。
それが無数の針となって、皮膚を刺してくる感覚を想起させた。
それなのに表情は清々しいほどの笑顔で、でも無邪気とは言い難く、そのちぐはぐさにAは何が何だかわからなくなっていた。
彼らがそこに佇んでいると、彼は階段を降りてきて、奥にいた殺せんせーに楽しそうに近づいていった。
殺せんせーも彼に気付く。
「赤羽
名前、カルマくんって言うんだ。変わった名前。
名前のインパクトにつられ、Aは先ほどの剣呑とした雰囲気も、6限という遅刻の常識を超えた行為も一瞬忘れた。
一見和やかに見える二人の雰囲気。それは、殺せんせーが赤羽業が差し出した手を握った瞬間に、
ブチュッ！
壊れた。
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作者名：よる | 作成日時：2020年3月16日 0時
