Vermaechtnis【sn.】

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「はーいこちら金木犀」
『花緑青より伝令、北東方向から20人程度の小隊。いけそう？』
「20人くらいなら余裕のよっちゃんや！ちゃちゃーっとかたしたるで！」


じゃあよろしく、と無線が切れた。
阿部ちゃんはあまり俺に司令をせえへんことが多い。多分やけど、ちゃんと俺の能力を理解しとるから何も言わんのやと思う。
なんか、信頼されてるみたいでめっちゃ嬉しない？言葉なんて言わんくても伝わるやろ関係的な。


「ってぼーっとしてる場合ちゃうわ、仕事仕事」


軍服のホルスターから1本の横笛を取り出す。
いや、俺かてほんまはここでかっこよく拳銃とか取り出せたらええんちゃうか思うけど、これが俺の戦闘スタイルやから。
一息ついてから、この場に似つかない笛の音を鳴らす。


吹き終わると目の前に現れる1匹の狐。


「連日で申し訳ないなあ、今日も頼むで〜、こんちゃん」
「ええー、そんなこと言わんといてやあ」
「しゃあないなあ...ほな、帰ったら油揚げ食べよか」
「ふふ、ほんま嬉しそうやな、でもその前に」


こんちゃんと話していると目の前にはきっと俺の笛の音で集まったであろう軍隊が一斉に武器を構える。
あ、そこの兄ちゃんこんちゃんのことバケモン言うたやろ。許さへんで。


「まずはお掃除、やんな？」


撃たれた銃弾を短剣でひとつ残らず弾いていけば真っ青な顔になる敵兵をこんちゃんが噛んでいく。
向かってくる兵隊を一撃で仕留めていけば、なんやみんなそんな強ないな、なんていらんことを考える余裕も出てきた。


気づけばきれいさっぱりお掃除は終了、周りにはさっきまで生きていたはずの屍。
自分がやったのは重々承知なんやけど、未だにこの光景には慣れへん。


「……」


そして決まって俺は毎回やることがある。


いつものきまり。
横たわった遺体の上に、一枝の金木犀。


「一人ぼっちは、寂しいもんなあ」


死ぬときなんて、なおさら。
せやろ？みんな。俺は知ってるで。




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No_006 向井康二
特殊部隊隊長

雪花隊唯一の異国出身で話す言葉に訛りがある。
猛獣使いの家系の生まれ。妖狐の『こんちゃん』とは幼少からの仲で橙色の横笛を吹くと現れる。
短剣の扱いが上手く、目黒にはよく教えている。


能力：疎通 Verstaendnis
人が考えてる事全て彼にはお見通し。故に嘘も見抜ける。
この世の生物全てと会話ができる。
彼の目が横笛と同じ橙色に染ったら思考には注意。

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金木犀『交流』

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