■ ページ35
岩「いつもならもう帰ってきてるじゃん」
向「確かに…さっくんこの時間にリアタイしたいアニメがある！って」
岩「そう、確か魔法帝のやつ」
深「…なんで知ってんの？」
岩「なんとなく」
深「…彼女かよ！」
向「かよ〜！！」
岩「はぁ？！」
深澤の揶揄うようなシャウト、乗っかる向井、吠える岩本。阿部は相変わらず本を読みながらコーヒーを啜っている。しかし先ほどと違うのは彼の眉間に２本シワが寄っていること。
少しずつ彼の胸騒ぎが大きくなってきていることにもう目は背けられない。
阿「…さすがに遅い、よなあ」
本を閉じ、すぐ近くにあったノートパソコンを開けば起動したアプリケーションに並ぶ9色のアイコン。
実は雪花隊で使われている機器系は全て研究室出身の阿部が開発したもの。遠隔で会話する際に使っている無線機は会話する以外に外部からのアクセスがあっても内容は全て暗号化されて聞こえるとか、電源が切れていても阿部のパソコンからなら各自がどこにいるのかわかるとか、そんな機能がある。
1色だけSOSを示す点滅をしているのは、言わずもがな連絡のない彼の色。しかもその所在地はかなり奥まった所謂外れ。
岩本と深澤とやいのやいのしながらも少し様子のおかしい阿部を遠目から見ていた向井は、彼の焦り具合に嫌な予感を感じて顔を歪める。
向「…何があったん」
阿「まずい、佐久間の通信おかしい、拉致られてるかも」
岩「っ！」
深「…あべちゃん場所は」
阿「首都圏の外れ、車飛ばせば10分で着く」
岩「俺が車出す、行くぞ」
鍵を持ち外に走り出す岩本と深澤。後を追おうとした阿部だったが、握り締めたのは車椅子のハンドル。
窓から射す西日。彼の体質的に、まだ歩くことはおろか立てる時間帯ではない。
向「…阿部ちゃん」
阿「…ごめん、行ってきて」
向「…」
阿部の瞳は不安げにゆらゆらと揺れていて。
向井は今にも意識が飛びそうな阿部を一瞥しアジトを後にした。
＊＊＊
不意に意識が戻る。ぼんやりする視界。
体は冷えきっている。
二重に重なるその姿は、何故か見覚えがあって。
「…あ、残念。そろそろ俺は失礼するよ」
佐「…てめえ、」
なんとか力を振り絞って蹴りを入れれば床に音を立てて落ちた仮面。
瞬間、佐久間は吃驚する。
「…ふふ、俺に見覚えでも？」
佐「…なんで…！！！」
その姿は紛れもなく、自分がよく知る彼。
「…いーよその顔、最高」
舌を出して嗤う彼の目は、■色に染まっていた。
終わり
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mu-pon(プロフ) - コメント失礼します。初めまして、mu-ponと言います。いろんな事情があったんですね。この小説がとても面白くいつ更新かなと街に待っていました！今からも大変だと思いますが頑張って下さい！応援してます！ (2020年6月30日 21時) (
レス) id: df04c4729a (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 初めまして！佐久間大好き！あべさくコンビも大好きです！この小説とても面白いですね！頑張ってください！応援してます！ (2020年5月29日 10時) (レス) id: 624e77d1d4 (このIDを非表示/違反報告)
あんと(プロフ) - リクエストお願いします！ふっかさんが敵に誘拐されるお話が読みたいです。めちゃくちゃ好きなタイプのお話なので、今後も作品楽しみにしています！ (2020年5月25日 22時) (レス) id: 9203f39f18 (このIDを非表示/違反報告)
てんぷら(プロフ) - ゆり組のお話が読みたいです。2人の秘密に迫るというか、2人ならではの絆のお話しをお願いします。アバウトな感じですみません。。これからも応援しています。更新待ってます。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: d802e6ae3c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 藜さん» すみません！間違えました (2020年5月23日 23時) (レス) id: c9acd22823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藜 | 作成日時：2020年5月16日 21時
