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ぱち、ぱちぱち。ぱちぱち。ぱち。
小さく耳障りのいい破裂音がうやむやな律動を刻む。ラウールはその音で微睡からぼんやりと意識を戻した。
目の前に見えるのは暖炉。
ラ「あれ…」
「あー、起きた？だいじょぶ？」
背後から聞こえた声に振り返れば青年がひとり。手にはお盆、湯煙を立てる椀が見える。
見た感じ質素ではない家の造り。ついに捕まったのかと落胆したラウールだったがふと考える。捕まってたらこんなふかふかの布団に暖かい部屋なんて、用意してもらえないような。
ラ「あの…」
「あー、ここ？ここは俺の部屋だから安心して座ってな」
はいこれ、と目の前に差し出されたのは器の乗ったお盆。あたたかそうに湯気を立てる汁物とご飯はここ数日録に食物を口にしていない育ち盛りには刺激が強すぎる。ゴクリ、と喉が鳴った。
「あれ？食わないの？」
ラ「…いいの？」
「味は保証する。…たぶん」
ラ「…いただきます」
「おう、食え食え」
遠慮がちに器に口をつけたラウールの頭をわしゃわしゃと撫でる青年は満面の笑み。
撫で回して満足したのだろう。俺もなにか飲もうかな、と零し、一度物陰に消えた彼は片手にグラスを持ってラウールの前に座り直した。
「よしじゃあ、君の名前を教えてもらおうかな。俺は深澤辰哉、君は？」
ラ「…ラウール、です」
深「ラウールね。で、商店街の外れにそんな状態でいたってことは、なんか訳アリなんでしょ？」
ラ「……」
深「まああそこの惨状を見た感じ、未だに能力使い慣れてなくてどーんって暴走しちゃったなーってとこ？」
ラ「なんで、わかるの」
深「んー…」
ちょっと手貸してみ、と言われラウールが素直に差し出せば、いきなり深澤がそれを引っ掻いた。
ラ「痛っ！！ちょっと？！」
驚いて引っ込めた掌には二本の赤い縦線。いや爪の威力。
深澤の顔を窺ったラウールだったがその顔はいたって真剣。余計に頭が混乱している。
ラ「いや、何してんすか」
深「もっかい手貸して」
ラ「いや怖いって！！」
抵抗も空しくもう一度深澤に握られた手。なぜか先程とは違って、彼の両手に包まれた右手はほんのり温かい気がして。
ラ「…え、治ってる」
じゃーん、と開かれた手の中を見れば、傷一つない己の手。
ラウールは愕然とする。なぜ自分の状況がわかるのかと聞いた。この手を見ればわかる、なぜなら深澤は、
深「俺も、能力者だから？」
へらりと笑う目の前の青年の眼は燕子花の色に染まっていた。
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mu-pon(プロフ) - コメント失礼します。初めまして、mu-ponと言います。いろんな事情があったんですね。この小説がとても面白くいつ更新かなと街に待っていました！今からも大変だと思いますが頑張って下さい！応援してます！ (2020年6月30日 21時) (
レス) id: df04c4729a (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 初めまして！佐久間大好き！あべさくコンビも大好きです！この小説とても面白いですね！頑張ってください！応援してます！ (2020年5月29日 10時) (レス) id: 624e77d1d4 (このIDを非表示/違反報告)
あんと(プロフ) - リクエストお願いします！ふっかさんが敵に誘拐されるお話が読みたいです。めちゃくちゃ好きなタイプのお話なので、今後も作品楽しみにしています！ (2020年5月25日 22時) (レス) id: 9203f39f18 (このIDを非表示/違反報告)
てんぷら(プロフ) - ゆり組のお話が読みたいです。2人の秘密に迫るというか、2人ならではの絆のお話しをお願いします。アバウトな感じですみません。。これからも応援しています。更新待ってます。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: d802e6ae3c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 藜さん» すみません！間違えました (2020年5月23日 23時) (レス) id: c9acd22823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藜 | 作成日時：2020年5月16日 21時
