03 燕子花は後悔を記す ページ18
(マロrq)
時刻は雪花隊も寝静まった深夜。ただ1人だけ夜更けにも関わらず起きていた深澤は地下室で酒を片手に医学書を読んでいた。
治癒の能力を持つ深澤は雪花隊副長でありながら現地には赴かず軍医として活動している。
深澤は自分が持っている能力を最大限に活用しようとして考えた結果で軍医になったため、医学書などぶっちゃけよくわかんないのが本音である。得意のなぞなぞとは比べ物にならない量の数字と文字の羅列に苦戦し、読み始めてかれこれ三時間ほどだが栞からは十頁ほどしか進んでいない。
しかもただの文字ならいいが何故かこの本の言語は異国語で書かれているのはアルファベット。表紙がかっこよかったから勢いで買っちゃったけどちゃんと翻訳されてるやつ買えばよかった。机に置かれた電子辞書に金の佐久間を贈呈したい。お前がいなかったらきっと俺は一ページも読めてない。
(……ま、頭のいい同期くんならこんなの余裕で読み終えちゃうんだろうけどさ)
柱時計が二時を告げた音で本から目を上げた彼は、慣れた手つきで眼鏡を直した。
本を閉じ手元にあるグラスの残りを喉に流し込む。果たしてこれで何杯目だったか。酒の度数が低いとはいえ今日は随分と飲んでしまった。やれやれ、俺はそこまで酒に強いわけじゃないのに。
次の一杯で終わりにしよう。そう考えていた時、深澤の視界に一人の隊員が映る。
向「あれー？ふっかさんや」
深「おー、康二か。こんな時間に珍しいな」
向「…へへ、ちょっとお酒飲みたい気分やねん」
深「ならなんか作ってあげようか、座ってな」
深澤は彼の酒の耐性のわりには酒に詳しい。というのも彼の実家は下町の酒場で、軍に入る前は家業を手伝っていたからである。
手際良くかなりのスピードで目の前に並べられた何種類もの酒の瓶をさばく深澤を見た向井は興味深そうにカウンターから身を乗り出した。
氷を入れたグラスにウォッカとグレープフルーツジュースを注いで軽く混ぜれば、出来上がり。
深「ほい、どうぞ」
向「おおきに。うわあ、綺麗なオレンジ色」
欲しいんか、えーあんたにはさすがにあげられんよ、とカウンターのサボテンに話しかける向井の目はこの酒と同じくらい鮮やかな橙色に染っている。疲れているのか無意識のうちに能力を発動してしまっているようだ。
深「で、どうしたの」
向「どうしたって、なんもないで？」
深「サボテンと会話しといてそりゃねえだろ」
向「えっ」
深「…してたぞ？」
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mu-pon(プロフ) - コメント失礼します。初めまして、mu-ponと言います。いろんな事情があったんですね。この小説がとても面白くいつ更新かなと街に待っていました！今からも大変だと思いますが頑張って下さい！応援してます！ (2020年6月30日 21時) (
レス) id: df04c4729a (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 初めまして！佐久間大好き！あべさくコンビも大好きです！この小説とても面白いですね！頑張ってください！応援してます！ (2020年5月29日 10時) (レス) id: 624e77d1d4 (このIDを非表示/違反報告)
あんと(プロフ) - リクエストお願いします！ふっかさんが敵に誘拐されるお話が読みたいです。めちゃくちゃ好きなタイプのお話なので、今後も作品楽しみにしています！ (2020年5月25日 22時) (レス) id: 9203f39f18 (このIDを非表示/違反報告)
てんぷら(プロフ) - ゆり組のお話が読みたいです。2人の秘密に迫るというか、2人ならではの絆のお話しをお願いします。アバウトな感じですみません。。これからも応援しています。更新待ってます。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: d802e6ae3c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 藜さん» すみません！間違えました (2020年5月23日 23時) (レス) id: c9acd22823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藜 | 作成日時：2020年5月16日 21時
