Vermaechtnis【sn.】

■ ページ8

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【W03 N15】


＿＿＿＿西に3メートル、北に15メートル。
突然阿部から送られてきた謎の六文字の意味を解読した俺は一人でそこに駆け足で向かう。


「……へえ、結構いんのな。」
「敵兵発見！！かかれ！！」
「……ッチ」


阿部に教えられた敵将の潜伏地へ行けば一気にかかってくる敵兵＿＿＿ざっと数えて百はいる。一人で三桁相手とか無謀すぎると考えながら目の前の敵を倒していくが、腐っても鯛とはこのことか。
彼も伊達に長をやっていないだけあって、敵将はなかなか腕が立つようで。


すでに相手にも俺にもところどころ重症ともいえるであろう傷が痛々しく見える。
でも俺にはマイナスの概念とかそんなのはまず脳内にない。つまり、自分のダメージも自分のプラスにしかならないってこと。


「…」
「なにを、笑っている、」
「いやあ、俺の、勝ちだな、と」
「は…、ッ？！」


もう何年も使ってきたからわかる。目の辺りに熱が籠るのを感じると同時に、目の前の敵に俺の傷が重なる。
右脚に切り傷、左腕には打撲。口の端からはゆっくりと血が垂れてきた。
痛いよな。俺だって負ったとき痛かったのを一度気になんて何倍もでかいダメージに決まってる。
目の前で叫び狂う相手にも、見慣れてしまった自分がいることに少し恐怖を感じる。


「お、お前……何者だ……！！」
「悪ぃな、俺たちはただの兵隊だ」


懇親の力で敵を殴ればスイッチが切れたように動かなくなる。拳を見れば彼の血でまみれていて失血死したであろう事がうかがえた。


「……はぁ」


この手で人の命を奪ったこと。
景色に慣れても、兵隊であっても、この感触には、きっと一生慣れてはいけない。


「こちら向日葵。敵将を撃破、任務遂行」
『はーい。あ、阿部ちゃん寝ちゃったから代わりに俺が出たよ。帰ってきたら治療するからねー』
「おう、」


俺の無線に答えた軍医は最後に、おつかれさま、と笑った。




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No_008 岩本照
局長 兼 近接部隊戦闘員
正義感が強く面倒見のいい雪花隊のリーダー。
暗闇や怪奇現象がちょっと苦手。好物はチョコレートで常にストックを欠かさない。


能力：合成 Synthese
世の中に存在するものを合成する。自分の傷や状態をを相手に合成することもできる。
能力発動範囲として、視界に入るものに限る。
怪しく光る黄色の目を見たら己の身を案じた方が良さそうだ。


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向日葵『私はあなただけを見つめる』

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