99.守る為に、守られる為に ページ50
「……ん」
目が覚めた。
パチクリと瞬きを数回すると、ぼんやりとしていた視界と思考がハッキリしてくる。
「……ここは……」
ダルい体を起き上がらせると、扉が開いた。
「Aちゃん……！」
ここは、間違いなく病院だ。だが、私はあのヴィランに捕まったはず。イマイチ状況を呑み込めない。
「良かった、起きたんだね」
「ええ。まあ……？」
こちらへ駆け寄るとすぐにそう言い、眉を下げた。
「……ごめんね、一番先に駆けつけれなくて」
「いえ。ホークスさんはプロヒーローですから」
「そうだけどね。……速すぎる男としてはダメだよ」
無駄なところで謙虚だよなぁ、と思いながら「状況を教えてくれませんか？」とホークスさんに問う。
「……分かった。けど、落ち着いて聞いてね」
どうやら、あの合宿で多数の被害が出たらしい。私が受けたガスや、襲撃してきたヴィランによる被害が主なところ。
そして、爆豪さんが攫われてしまったらしい。
だが、それはもうとっくの前に解決したそうだ。“オールマイトの引退”という代償を残して。
「……そんな、」
「うん。……Aちゃん。雄英の先生たちが家庭訪問にしに来るらしいんだけどさ」
「……はあ」
「全寮制になるんだって。その許可を取りに。
……俺は嫌だな」
ホークスさんがそう言い、私は何も言えなくなってしまった。
勝手に突っ走って、自分の子供な意思で負けちゃって、その癖先生たちにも迷惑をかけて、こうしてホークスさんにも心配をかけた。
私、バカなのかな。
「でも、Aちゃんを狙ってヴィラン連合は襲撃して来たんだよね」
「らしい、ですね」
「……雄英しかないんだよ。Aちゃんを守れるところ」
「…………」
「俺はいつでも傍にいられるわけじゃない。
それに、その分俺の危険もAちゃんに上乗せされる」
ホークスさんは迷っているんだ。今の批判を受けた雄英に、私を預けれることができるのか。安心できるのか。
「ほんと、情けない」
「……ホークスさん」
「ん？」
悲しそうな笑顔を浮かべながら、こちらを見るホークスさん。
「私、できます。
ホークスさんみたいなヒーロー……にはなりたくないけど、私はヒーローになりたいんです。
だから、行きます。
どんな人たちが来ようが、絶対に生き抜いて見せます｣
貴方みたいな人にはなりたくないけれど、貴方の夢は素敵だと思った。
“ヒーローが暇を持て余す社会”。見てみたいと思った。
だから私は。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
