92.知らない気持ち ページ43
※轟side
何故だか、心臓が凄く痛い。
瀬呂に膝枕されることを「別にいい」と時雨が言ったときから、ずっと痛くてしょうがない。むず痒い。
痒いところに手が届かないような、そんな感覚。
「……時雨、女子部屋寝かせてくるか？」
耐えきれなくて、そう言った。
「お！ 轟！ お願いするわ！」
「足痛くなってきたんだよな〜」と言う瀬呂の膝に乗った時雨を横抱きにして、部屋を出た。
「ん……」
寝返りを打とうとしたのか、少しだけ顔と体が動いた。
ぎゅ、と服の裾が握られる。
「……かわいい」
ふと吐き出した声に、疑問を覚えた。
可愛い、かわいい……可愛い、のか。
「時雨、」
「……ん……」
寝言なのか、それに答えるように言った。
女子部屋に入り、敷かれている布団に時雨を寝かせる。風邪を引かないように布団を掛けて、部屋を出ようとした。
「ぁすか……」
その声と一緒に、服の裾がまた握られる。
「ごめん……ね……」
月の光だけが照明になっている部屋の中で、光った雫。
「……行かないで……」
更に強まった手。
俺は動かせる手で、時雨の涙を拭い、それから横髪と前髪を上にあげて、額に唇を落とした。
「お前が言うなら、どこにも行かねぇ」
心臓が痛い理由はわからない。もしかしたらなんかの病気かもしれねぇし、なんかの個性にかかっちまったのかもしれねぇ。
でもいつか、その理由を時雨が教えてくれる気がするから。
「だから泣くな」
頬に手を添えると、次はその手を握り、赤子のように抱いた。
「……ん」
気持ちよさそうに、寝息を立てて寝た。
……心臓がギュンギュンする。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
