89.駆け抜けろ、魔獣の森 ページ40
「じゃあ、なんでこんな半端な所に？」
「これってもしかして……」
皆が不穏なことを言い始めるので、全員バスへ猛ダッシュ。
だが、
「今は午前九時半。早ければ〜……十二時前後かしらん？」
バスの手前にプッシーキャッツの一人が出た。その人が地面に手を触れると、土がズズッと盛り上がる。
「今から三時間！ 自分の足でおいでませ！ この魔獣の森を抜けて！！」
地面へ真っ逆さま。私は自身に“減速”を付与し、ゆっくりと落下した。
「っあー……制服が土まみれ……」
魔獣だなんて言っていたし、今元に戻しても仕方ない。多分、何かはいる。
するの、唸り声をあげたなにかが峰田さんの前に現れた。
「何あれ……！？」
「静まりなさい獣よ！！ 下がるのです！！」
動物を操る口田さんの個性が効いていない。というこは動物じゃない。見るからに人間ではないし。
私は懐中時計のボタンを押し、サッと獣の後ろに回る。再度ボタンを押し、魔獣の足に触れて“逆再生”を作用させた。
「……土……？」
「ナイス時雨！！」
魔獣は溶け、柔らかい土となっていた。
……合宿だからってお気に入りの時計を持ってきたのはまちがいだったか。
「行くぞA組！！」
「「「おう！！！」」」
でも、本当の生物相手じゃないならとてもやりやすい。
魔獣だかなんだか知らないけれど、私たちならできる筈だ。
◆◆◆
サポートに回ることになった私。危険になった人の保護、そして目に入った魔獣の撃退を一人で任された。
そして、それを約七時間半程続けた。
体力面、体は巻き戻しでどうにかなるものの、精神的疲労だけは拭いきれなかった。ぼんやりする頭。
やっとの思いで施設につく。
「お、お茶子ちゃん……顔が……やばいよ」
「Aちゃんはなんでそんなピンピンしとるん……制服もめっちゃ綺麗やし……」
「“逆再生”だよ。バス降りた時まで巻き戻してたから」
「ずるいやん〜！」
皆やつれながら、森の中から出てくる。
私も疲れてはいるが、なにせ体の方は傷一つ、なんなら埃一つないから少し申し訳ない。
「何が三時間ですか！！」
「それ、私たちならって意味。悪いね〜」
「実力差自慢の為か……やらしいな……」
別に皆を置いて行くこともできたが、それは違うと思った。
ヒーロー科の人間として、皆と歩調を合わせるのが正解だと個人的に思ったのだ。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
