86.愛ほど歪んだ ページ37
「は？」
「轟のこと、」
「上鳴さんはプールに沈まされたいと」
「えぇ！？」
そういう事じゃないですか。
「でもさぁ、時雨が好きじゃなくても轟は時雨のこと好きだと思うんだよね、俺」
「はあ。根拠はなんですか」
「だって、轟の見る目が時雨だけスゲェ優しいし。……あ、轟の番だぜ」
次のチームには轟さんがいる。
「誰が勝つと思う？」
「瀬呂さんもありそうですけど、轟さんもありますね」
不意に、轟さんがこちらを見た。
『お う え ん た の む』
「…………」
……確かに、口パクでそう言ったような気がした。
「……頑張れー」
棒読みでそう言った。
「泳いでねぇじゃん！」
「？」
個性ありの戦いだし、仕方ないと言えば仕方ない。
「……あれ、轟こっち来たくね？」
「そんな事ないですよ」
いや、そんなことは全然あった。
「時雨、上鳴。何してるんだ？」
「俺時雨といちゃ──ゴフッ！！」
「はあ……」
私は「少し話していただけです」と誰もいないところに目を背けながら言った。
「そうなのか。俺もいいか？」
「なら私が退けるので」
「いや、時雨とも話したい」
そう言ってぎゅっと右手を握ってくるのでずるい。
「……上鳴さんたすけて、」
「流石にイケメンには俺勝てねぇわ」
「でしょうね……」
「え？？」
きゅう、と轟さんは握る力を少し強めた。
「やっぱ好かれてるぜ、時雨」
「感覚的には猫に懐かれてるんですけど。……私猫アレルギーですが」
「じゃあ轟アレルギーってこと？？」
「はい」
「あ、即答なのね」と上鳴さんがホッコリしたかのように言った。
「俺アレルギーなのか？ ……そんなアレルギーあんのか……」
隣で話を聞いていた轟さんが、静かに手を離しそのまま少し離れて行った。
「おいおい、どうすんだ時雨……！」
「いや、えぇ……」
「抱きつかねぇと！」
「馬鹿なんですか」
ビシッと上鳴さんの頭を叩く。
「……直視できないですもん、話せるわけないじゃないですか」
「お。……デレた」
「ぶっ飛ばしますよ」
「ねえ俺の扱い酷いよね？？」
いや貴方が悪いでしょ、と一言。
「おいコラ半分ヤロォ！！ テメェなにしとんじゃ！！！」
「爆豪？？」
「はよ来い！！ クソカス時計女もだァ！！」
「え私も……！？」
「爆豪からの指名は行かなきゃいけねぇとダメだな、行かなかったら何されるかわかんねぇぞ時雨！」
「っぐ……なんでわたしぃ……」
私は半べそでプールへ行った。
「よーい──」
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
