82.ティラミス初体験 ページ33
街から少し離れた、こじんまりとした場所。
「……ティラミス専門店なんて、よく見つけましたね」
「姉さんが教えてくれた」
水色が基調になっているお店、ティラミス専門店へ来た。
「入るか」
「はい！」
内心、とてもワクワクしていた。
ティラミス専門店なんて行ったのは昔二回程行ったっきり。
それからはスーパーなどで見つけるスイーツを手に取って食べたりだけで、本格的なのは結構な期間食べていなかった。
中へ入ると、内装は普通のカフェのようで、店員さんがいるだけでお客さんと思われるような人は一人もいなかった。
レジへ向かうと、「いらっしゃいませ！」と大きな声で言われた。
「お持ち帰りでしょうか？」
「いや、店内で」
「ご注文はお決まりでしょうか！」
「いいえ。……えっと、これで決めて良いんですか？」
「どうぞ！」
レジの隣に置かれたメニュー表を覗き込む。
ティラミス、ティラミス、ティラミス。ティラミス専門店の名に恥じないくらいに、メニューはティラミスで埋まっていた。
そりゃティラミス専門店だしティラミスしかないよね。
「……私は、ティラミスプレーンにしますけど」
「じゃあ俺はマニアの方にする」
「プレーンとマニア、それぞれおひとつずつで宜しいですか？」
「はい」
「えー、代金は……」
財布を出そうとした手を、静かに止められた。そして、代金を言われると轟さんが万札を出して払った。
しっかりお釣りももらって。
……万札……。
「お好きな席でお待ちくださいませ！」
轟さんとレジ近くの席に座った。
「……あの、お金……」
「大丈夫だ。昼は奢ってもらったしな」
「いやでも……二倍くらいして……」
「大丈夫だ」
“大丈夫”で押し切らないで欲しいのだが。
「……にしても、時雨この店入ってからずっと笑顔だな」
「え？ そ、そうですか？」
「ああ。嬉しそうだ」
好きな物のお店だからだろうか。表情筋が緩みっぱなしなのだろう。
「姉さんから聞いてよかった。ネットにもあまり載ってねぇ穴場らしい」
「へぇ、そうなんだ……今度冬美さんにお礼言わないと……」
轟さんが、顔をキョトンとさせた。
「今、敬語……」
「あ、すみません！ 冬美さんだけかって話ですよね！ ありがとうございます、轟さん」
轟さんは少し間を置き、「ああ」と言った。
「お待たせいたしました！
「ティラミスプレーンと、ティラミスマニアです」
目の前に、二つ置かれた。
「ごゆっくり！」
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
