53.耳にたこのイカ焼き少女 ページ4
翌日。学校へ向かう途中だ。
「あ、イカ焼き少女ちゃんだ！」
「体育祭の戦い見てたよ！ イカ焼き少女ちゃん！」
「凄かったねぇ、イカ焼き少女ちゃん」
老若男女問わず、私の事を名前では呼ばず“イカ焼き少女”と呼んだ。やめてくれ。もう呪いみたいだから。
げっそりしたまま校舎に入り、廊下を歩いていた。
「よっ、イカ焼き少女ちゃん」
「ッわ！？ ……って、心操さんですか。脅かさないでくださいよ……」
後ろから心操さんが飛び出してきた。
「めっちゃどんよりしてんじゃん。低気圧？」
「“イカ焼き少女ちゃん”の影響です……」
さっきからずっと言われてる、と項垂れるように言うと、「なんか奢るか？」と同情してくれたのか、そう言ってもらえた。
「いちごオレ……」
「はいはい」
心操さんは自販機でいちごオレを買い、私に渡した。
「ありがとうございます」
「いいよ。これくらいしかできないし。……あ、連絡先交換しとこ」
「あ、はい」
心操さんと連絡先を交換すると、「これで友達。敬語なしね」と急に言われたので、「え、あはい、うん」とよく分からない返事をしてしまった。
「教室まで送ってく」
「道中にあるだけじゃない……？」
「あ、バレた？」
それから軽く自己紹介のように、互いの好きな物や嫌いな物を言い合い、先に教室へ入った。
「おっ！ イカ焼き少女ちゃんおっはー！」
「っげ、」
上鳴さんが私を見るなり、ニシシと笑いながら挨拶をして来た。確信犯。
「ぐぬぬ……」
イカ焼きにメンタルが崩されそうになるも、私はそれに屈さずに椅子に腰を掛ける。
「時雨、おはよう」
「おはようございま──は！？」
「？」
やっと名前で挨拶された、と思ったら轟さんだった。
え、何。え。
「……誰ですか？」
「轟焦凍だ」
「……え、いや……は？」
脳の処理が追いつかない。体育祭後はなんか丸くなったなとは思ったが、丸くなったどころじゃない。こんなの二重人格かなんかでしょ。
「……今日の昼休み、話がある」
「え！？」
反応したのは私……ではなく、こちらへ聞き耳を立てていたのか、たまかま聞いていたのかわからない三奈ちゃんだった。
「なになに！？ 轟、告白！？」
「告白？ ……まあ、そんなもんか？」
「エ？」
「えぇッー！？！？」
ついこの間まで私を睨んできた人だぞ？
ポカンとしていると、飯田さんが教室に入ってきた。
「君たち！ もう予鈴五分前だぞ！」
「……そういうことだから、よろしく」
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
