77.約束 ページ28
「お、時雨」
「あ。轟さん」
ジュースを鞄に入れていると、後ろから轟さんが来た。今から下校するみたいだ。
「……それ、ジュースか？」
「ああ、はい」
チャックを閉めて、私は鞄を肩に掛け直す。
「もらったんです」
「誰にだ？」
「爆豪さんです」
「爆豪か……なんか、意外だな」
「はは、わかりますそれ」
轟さんは、ポカンと表情と体を止めた。
え、私個性使ってませんよ。
「……今日、初めて笑ったな」
「え」
「今朝からずっと……元気ねぇままだった。
話しかけても上の空で、返事かえって来なかったしな」
「あ、すみません……」
授業ですら頭に入ってなかったのに、会話なんて入るはずもないのだが。
「なあ、休み空いてるか？」
「え、休みって明日ですか？」
「ああ。母さんの見舞いへ行くのと、お前と前約束した……てぃらみす、ってやつ食いに行きてぇから」
そういえばそんな話したっけ、と思いながら「わかりました」と上靴から外靴に履き替える。
「送ってく」
「え、あ、はい」
◆◆◆
轟さんと待ち合わせの病院。フロントへ入ると、椅子に腰をかけている紅白頭がすぐ目に入った。
わかりやすいな……！？
「轟さん」
後ろから近づき、トントンと肩を叩くと、こちらへ振り向き「お」の一言。
「おはよう」
「おはようございます」
「受付は済ませてあるから、行くか」
椅子から立ち上がると、「着いてきてくれ」と私の手をサラッと握った。
それにはなにもツッコまない(ツッコんだら負けと思って)まま、エレベーターに乗り、轟さんの母がいるであろう階へ行った。
轟さんが歩みを止めた部屋の横に、“轟”と書かれたプレートが掛けてある。
「ここだ」
手を離し、轟さんはドアを開いた。
「おはよう、お母さん」
「おはよう、焦凍。……あら？ 今日はお友達を連れてきたのね」
「は、初め、まし……て……ど、うも……」
白髪。黒い瞳。雪のような肌。もう少し若ければ、きっと──。
「ふふ、緊張してるのかしら？」
「ぇあ、いや、その……！ すみま、せん……！」
「大丈夫よ。体育祭で、イカ焼きを持ってた子ね」
「ああっその節は……！！」
「イカ焼き少女ちゃん、だったかしら？」
「ぁぁ……」
友達の母からもその認識をされているのはとても恥ずかしい。イカ焼き恨む。
「お見苦しい所をお見せしてしまい申し訳ありませんッ！！ 時雨Aと申しますッ！！」
「Aちゃんね。焦凍の母、冷です。よろしくね」
「ハイ……」
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
