76.ヤンキーの恩返し ページ27
ガタッと勢いよく席を立ち上がった。
「どうした、時雨」
「私、試験後半の記憶が全くありません」
「……そうか」
「意味がわかりません。それに、私は試験をクリアしたなんて、」
「クリアしたぞ」
「っ記憶がないなら、それはしてないも同然で……！！」
「したんだ、時雨」
相澤先生は、証拠もなしにそう言った。この人はそう言う人じゃない。……そういう人じゃないのに、なんで。
「……ッ」
「座れ」
「……すみません」
私は椅子に座った。納得なんて出来るはずない。……多分、体育祭のとき、尾白さんはこんなに気持ちだったのだろう。
「……はあ」
気持ち悪い。
その後の相澤先生の話は、まるっきり入ってこなかった。
◆◆◆
そんな気持ちの悪いまま、放課後。
林間合宿のしおりが配られ、全員わくわくとしている様子だった。
残念だが、私はそんな気持ちになる筈もなく。
「明日休みだし、テスト明けだし！ 皆で買い物行こ！」
そんな提案に、今の私は乗れることができなかった。
「おい爆豪、お前もこい！」
「行くか。かったりぃ」
「轟くんも行けない？」
「悪ぃ、休日は見舞いだ」
「Aは？ どぉ？」
「……ごめん、そういう気分じゃないんだ」
三奈ちゃんは事情を察したのか、「そっか！」と深堀はせずにいてくれた。と
私は教室を後にした。
「……はあ」
ため息ばっかり。今日、誰かとマトモに話したっけか。いや、そんな記憶がない、あれ、今日何してたっけ。
ネガティブな思考に偏る中、私の目前に何かが迫った。
「ぶべらッ！？」
「チッ。湿気た顔してんじゃねぇよクソ時計女」
顔面に何かが当たり、それが落ちる。私の足元にコツンと何かが当たった。
赤くなったであろう鼻を撫でながら足元を見ると、そこにはペットボトル。
しかも、私の大好きなジュース。
「へぁ、ありがとうございますっ！」
私はそれを手に取り、お金を出そうと財布を出して小銭を手に取る。
「爆豪さんこれっ、」
「いらねぇ」
「いやでも、」
「いらねぇ」
「でもッ！！」
ガッと爆豪さんの手を掴み、強引に手のひらに乗せた。
「……クソが。いつまでも湿気た顔してっとテメェの顔爆破すっからなクソが！！」
「ヒィェすいませんっ！！」
爆豪さんは、「ケッ」と言って校舎から出ていった。手にあるジュースを見て、これは爆豪さんなりの気遣いなのかなぁ、と考えて少し笑ってしまった。
「柄じゃないなあ」
なんて思うのも、仕方ないと思うのだ。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
