75.赤点の人 ページ26
「正直さァ、この時間無駄。どうせウチに聞いたって今はなんも答えねェよ」
「“今は”……か」
「いつか話す予定でもあるんだな」と相澤が時雨へ言う。
「まァな。……いつまでも秘密じゃ“ウチ”が救われねェ」
「そうか。今話せない理由は？」
「残念ながら、言えねェよ」
不服そうな表情を浮かべる相澤に、「そんな顔すんなよ相澤センコー」と眉を下げる。
「呼んでくれたら出る。それだけは約束する。そして、この話をいつかすることも」
少し悩んだ後、「それなら良い」と相澤は渋々言った。
「じゃあ、戻るわ」
「絶対に話せよ」
「……分かってるって」
時雨は、瞼を閉じた。
数秒閉じると、また目が開く。そして、不思議そうな表情を浮かべた。
「え、え？ 相澤先生、私なんでここに……え？」
どうやら、本当に代わったらしく、ベストジーニストと戦っていた時雨が帰ってきた。
「なんで私こんなところにいるんです！？」
「……気絶したところを少し運んだだけだ。さっさと更衣室行って着替えてこい」
「え、でも、」
「言われたらすぐ行け」
「……ハイ……」
その後、時雨は試験のことを周りから聞いて回ったが、誰もその内容を話さず、ただ誤魔化した。
轟焦凍は、複雑そうな表情をして、「それより筆記試験はどうだった」と話題を変えたとか。
◆◆◆
翌日。教室は、実技試験のことで騒がしかった。
「試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄！ そして俺らは実技クリアならず！！ それでもわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だぁぁぁぁ！！！」
叫ぶ上鳴さんに、「落ち着けよ長ぇ」と瀬呂さんが言葉を挟む。
「……私も、試験で拘束された後の記憶が無いので多分……」
少し静まった教室でそう呟くと、何故か空気が凍った。いや本当になんで。
「ま、まあ時雨は大丈夫だろ。俺はずっと寝てたしな」
そんなこんなでチャイムが鳴る前に席につき、チャイムが鳴ると相澤先生が入ってきた。
「「おはよう。今回の期末テスト、残念だが赤点が出た」
ズンとした空気。そして、
「従って林間合宿は──全員行きます！」
それを覆すほどのどんでん返し。
「「「どんでん返しきたー！！！」」」
正直、不安だった私もこれは嬉しい。多分補習にはなるんだろうが、それはそれで致し方無し。
「今回の赤点は切島、砂藤、芦戸、上鳴、そして瀬呂だ」
「え？」
私は口から疑問が零れでる。
「ちょ、ちょっと待ってください……！」
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
