73.有り得る話 ページ24
私の試験会場、“グラウンドγ”。三奈ちゃんと上鳴さんが試験を受けた会場……とは別だが、そっくりの場所である。
《時雨チーム、スタート》
最早それはチームと言うのは怪しいと思うが、私は工業地帯を歩いた。
私の作戦は、隠密行動メインの作戦。時間停止はいざとなった時に使い、ベストジーニストさんの攻撃から逃れるに使う。
使った先で出会ってしまったら、私に逃れる術はない。
自身に“倍速”を付与して、目立たないようにゆっくりと行動していた。
すると、目の前に一筋の光が煌めいた。
「……え、」
途端、ギュルンと繊維が暴れ始め、私を拘束した。
「いっ゛……」
「繊維はこういう使い方もできる。私の元へ振動が来るからな」
コツ、コツとこちらへ近づいてくる足音。
そういこうとか……私の足音を繊維で捉えて、すぐさま来る。
「拘束と遠距離、そして奇襲に弱い」
「ッぐぅ、」
ギュウ、と私を拘束している繊維が締め付けた。
私は、繊維へと手を伸ばした。
──ブツン。
その抵抗虚しく、意識が落ちた。
◆◆◆
糸が切れたように、動かなくなった時雨。
それを見たベストジーニストは、不審に思った。
──刹那、視界から時雨が消え失せる。どこだ、と探す前に、ベストジーニストの背後から頭を殴られ、そのまま手刀を入れられ気絶させられた。
「お目覚めから歓迎しすぎなんじゃねェの」
《時雨チーム、終了》とアナウンスが流れ、時雨はそこにベストジーニストを置いてグラウンドを出る。
モニタールームで、明らかに様が変わった時雨を見たクラスメイトたちは、部屋を出て時雨のもとへ向かった。
「ちょっとAちゃん！？ 大丈夫！？」
「あー、麗日お茶子だっけ？ 大丈夫だけど」
「あかん！」
「Aちゃんはウチのことフルネームで呼ばん！」と倒れ込む麗日。
「どこか体調が悪いのですか……？」
「寧ろ快調だねェ」
八百万に問われても、時雨はいつもの口調では喋らない。
まるで、中身が入れ替わってしまったようだ。
「時雨」
皆が戸惑う中で、一人がそう呼びかけた。
「いや……中身が違ぇのか？」
「ほーん？」
「二重人格とか、有り得ねぇ話ではねぇだろ」
天然な癖に鋭いな、と時雨の皮を被った中身が思う。
「ま、そうだよ」
時雨はクツクツと笑いながら、そう告げた。
「ええ！？」
「マジか！！」
「闇の人格」
声を上げる中で「初耳！」と言う声に時雨は反応した。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
