69.根負け ページ20
頬に添えている手とは違う方の手で、私の手を握った。逃がさんぞと言わんばかりに。
……子犬……。
「……俺のこと嫌いなのは知ってる。俺と一緒にいるのが嫌なことも。
でも、心配くらいさせてくれ……」
そう言うと、頬に添えていた手を下ろして私の肩に顔を埋めた。
……妙に距離が近いのは置いておき、これだけ言われると流石に私も罪悪感というか。色々募る。
「……はあ……わかりました。でも今から相澤先生の所に行くので、退けてもらいませんか」
「俺も行く」
「は？」
危ない。堪忍袋の緒が切れそうになってしまった。
ベッドから降りて、リカバリーガールさんに「ありがとうございました」と頭を下げる。
「寝不足で来るじゃないさね。次来たらベッド貸さないよ」
「肝に銘じておきます……」
そう言い、私たちは保健室を出て職員室へ向かった。
ノックをし、「失礼します。一年A組の時雨Aです。相澤先生はいらっしゃいますか？」と顔を出すと、「遅い」と近くにいたのか、死角から相澤先生が出てきた。
「……で、なんで轟がいる」
「着いてきました……何故か」
「いても問題ないですよね？」
「問題ねぇが……合理性に欠けるな」
「同意します」
相澤先生はため息を吐き、「時雨、寝不足か」と叱り殺される一歩前まで来ている。
「合理性に欠けすぎだな。ちゃんと寝ろ」
「はい……」
「理由は聞かないが、中間の点数がなんとも言えなかったからな。勉強とかそんなんだろ」
「ウッ」
相澤先生の察しが良すぎる。そこまでの察しの良さはプロヒーローだからなのか、それとも相澤先生だからなのか。
「反省文……二枚で良い。明後日までに提出しろ」
「ハイ……」
先生は原稿を私に渡すと、職員室へ戻っていった。
「……え、明後日……？」
まあ二枚だし……大丈夫か。
70.密室の中に男女、何も無いわけが……？→←68.たかが寝不足、されど寝不足
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
