68.たかが寝不足、されど寝不足 ページ19
保健室まで運ばれている途中、安心していたわけでもないが、寝た。寝てしまった。もうお嫁に行けません。
……と、寝る前までのことはぼんやーり覚えている。
起きて真っ先に思ったのは、「あ、やばい、怒られる」だった。
「起きたかい」
「……起きました」
カーテンから顔を出した、リカバリーガールさん。
私は体を起き上がらせた。
「アンタね、寝不足でここに来るんじゃないよ」
「すみません……」
「全く……何日寝てないんだい」
「……三日程」
「ちゃんと寝んさい！」と叱られた。その通りです。正論です。
「朝のホームルームはもう終わったよ。すぐに職員室に来いだとさ、担任がね」
「ヒュエ……」
絶対怒られる。夜更かしなんて不合理の極みじゃないか。
「それと、アンタを運んできた子が、」
リカバリーガールさんの声を妨げたのは、ノックの音と「失礼します」という声だった。
「噂をすれば、だね」
「轟さんでしたか……」
……保健室で会うこと、多いよなぁ……。
轟さんは、私の隣に腰を駆けた。
「体調は大丈夫か？」
「おかげさまで」
「二十分くらいだろ？ 寝たの」
「そうですね……大体そのくらいじゃないですかね」
二十分の睡眠で、寝る前と寝たあとじゃだいぶ違う。仮眠は必要というわけか。
「なんで夜更かししてたんだ？」
「あー……」
何言われても怒られるような、そんな気がする。
「……勉強です」
「勉強？」
「中間、十三位で。職場体験で中々勉強の時間も取れませんでしたし、それで……」
視線を、すっと逸らした。
「それで体調崩したら元も子もないだろ」
「その通りでございます」
私のメンタルにクリティカルヒット。
「……じゃあ、今日から学校残るぞ」
「え？」
「どいうこと？？？」と内心思いながら、私は首を傾げる。
「図書室で一緒に勉強だ。抜け駆けは許さねぇ。
家でやりてぇっつーんだったらお前の家に行く。泊まり込みで」
やばいこの人。
心配だとはいえ、異性の家に泊まり込みは普通にやめてくれないか。色々危ない。色々。
同性でやる勉強会じゃないんですよ。貴方異性なんですよ。
「……大丈夫ですから、」
「わかってねぇなら大丈夫じゃねぇだろ」
頑固というかなんと言うか。
轟さんは私の頬に手を添えると、グッと自分の方へ向けた。
「……本当に、心配なんだ」
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
