65.規律違反、先人たちのモラル ページ16
ドーナツの入った箱を、テーブルに置いたところだった。
「おぉ、起きてるか怪我人共！」
「ビギャッ！」
「あのときの小娘もいるのか」
ビビった……！！！
病室の扉を開いた先に、グラントリノさん、飯田さんの職場体験先であるマニュアルさんと、スーツを着た……犬さんがいた。
グラントリノさんから聞くと、どうやら警察署の署長さんだそう。私や飯田さん、轟さんも立ち上がったが「腰をかけたままで結構だワン」と言われた。
……ワン？
「君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね」
私は別に仕留めていない。あの時はただ、なんとなく命の危機を感じて咄嗟に動いただけである。
「ヒーロー殺しは、火傷に骨折と中々の重傷で現在治療中だワン」
本当に重傷だ。寧ろ、それでよく生きていられるなとも思える。
「超常黎明期……警察は統率と規格を重要視し、個性を武に用いないこととした。
そして、ヒーローはその穴を埋める形で台頭してきた職業だワン。個人の武力行使、容易に人を殺められる力」
……警察署の署長さん、そんな人が先に感謝を述べず、ルールのことを述べる……ということは。
「本来なら糾弾されて、然るべきこれらが公に認められているのは、先人達がモラルやルールをしっかり遵守してきたからなんだワン」
ヒーロー免許、ましてや仮免も持っていない人間が個性の武力行使を行うことはガッツリ規約違反。
法律上、轟さんたち三人、そしてグラントリノさん、マニュアルさん、エンデヴァーさんは厳格な処罰がくだることが告げられた。
「待ってくださいよ」
轟さんが、前のめりになって言った。
「飯田や緑谷が来なかったら全員殺されてた、あの時は誰もヒーロー殺しの出現に気づいていなかった！
規則守って見殺しにするべきだっ、」
私は轟さんの口にドーナツを突っ込んだ。喋るなと言わんばかりに視線を向け、「まだ話は続いてますからね」と言う。
……それだけじゃないような、気がする。気がする……だけ。
「結果オーライであれば、規則など有耶無耶で良いと？」
轟さんが更に眉を寄せて、口のドーナツを手で取った。
「人を救けるのが……ヒーローの仕事だろ」
「だから君は“卵”だ、全く……」
私は轟さんの手からドーナツを奪い、また口に入れる。
「良い教育してるワンね、雄英も……エンデヴァーも」
「っ……ほほふぃふ(この犬)……っ！」
「轟さん、話はまだ続いてますから」
66.未来のヒーローたちへ→←64.ヒーロー殺し、その信念を
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
