64.ヒーロー殺し、その信念を ページ15
悩んでいた最中に、人影が走った。
その人影は、ヒーローの人の頬に付着した血液を舐めた。
緑谷さんを捕まえた脳無は脱力したように地面に落ちて、緑谷さんを離した。
「偽物が蔓延るこの社会も、徒に力を振りまく犯罪者も、粛清対象だ」
緑谷さんと脳無へ走った人影は、ヒーロー殺し“ステイン”だった。
ステインは脳無のさらけ出されている脳を刺す。
「ひょ……」なんて情けない声が出た。
「全ては正しき社会の為に」
“正しき社会”……？
「助けた……！？」
「馬鹿、人質取ったんだ！」
「躊躇なく人殺しやがったぞ」
「いいから戦闘態勢とれ！」
サッと戦闘態勢をとるが、ステインは重傷。ほぼ動けないだろう。
「何故ひと塊になって突っ立っている！？」
「エンデヴァーさん……」
走ってきたエンデヴァーさん。私たちの目線の先を見ると、「ヒーロー殺し……！」と呟き、炎を出そうとした。
だが、グラントリノさんが待て轟！」と制止させる。
「偽物」
鳥肌が立つ。
「正さねば」
この狂ったような信念のようなものはなんだろう。
「誰かが血に染まらねば……！ ヒーローを取り戻さねば……！」
ﾋピリピリとしたような感覚が全身を這う。
「来てみろ偽物共……！ 俺を殺していいのはオールマイトだけだ！！」
私は時間を止め、ステインの背後に行き解除。
トン、と小さく手刀を入れ、気絶させた。倒れ込むステインを片手で受け止める。
この短時間。ステインのおぞましさは、その場の全員に刻み込まれた。
◆◆◆
「失礼します」
白く重たい扉を開く。
病室には三つのベッド。その上には一人ずつ、人が座っている。
「あ、時雨さん！ おはよう！」
「おはようございます、緑谷さん、飯田さん、轟さん」
「ああ、おはよう！」
「おはよう」
私は扉を閉めて、近くのパイプ椅子を轟さんのベッドの隣に置いて腰をかけた。
「お見舞いに来ました」
「そうなのか！ ……だが、職場体験はどうしたんだ？」
左手が包帯で巻かれている飯田さんは、こちらへ問いかける。
「エンデヴァーさんが、「焦凍の調子を見がてら行ってこい」と言ってくれたので来させて頂きました」
「アイツ……」
許可してもらって良かった……言っても、保須でやることももう無いからかな。
「これ、ドーナツです。三人で食べてください」
「わぁ、ありがとう！」
「ああ……悪ぃ、ありがとう」
「ありがとうな！ 大切に食べさせてもらおう！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
