61.すきなもの ページ12
「緑谷にも、時雨にも助けられてるから、仲良くしてぇと思ってる。
改めて、ありがとな」
助けた覚えなんて無い。
わからない。もしかしたら、轟さんがまだ“許してもらえるかも”なんていう浅ましいことを考えているのかもしれない。
……でも、それを信じるのと、肩を焼かれたことはきっと……別だ。
「なぁ、夜まで話さねぇか？」
「……良いですけど」
「ん。悪ぃな、自己中で」
轟さんは立ち上がり、窓辺にある椅子に腰を掛けた。
窓から差し込む光、そして窓から外を見るイケメン。絵になるだろうと思うくらい、それは綺麗で。
「？ どうした？」
「……いえ」
──「Aも私も、ヒーロー向きの個性だから大丈夫！ ヒーローなれるって！」
いつしか、私にそう言ってくれた親友の声が頭に響く。
「……制服に着替えてきても良いですか？」
「ああ、大丈夫だ」
飛鳥……私は、貴方とヒーローになりたかったな。
◆◆◆
「私はあったかい蕎麦というか、蕎麦自体あんまり好きじゃなくて」
「そうなのか……！？ 騙されたと思ってランチラッシュのあったかくねぇほうの蕎麦食ってみてほしかったんだが……ダメだな」
あれから小一時間。
私と轟さんは、持参してきた水筒を飲みながら、座って話していた。
仲良くなろうと頑張る轟さんに絆されたわけではないが、まあ私なりのお慈悲というか。
「時雨の好きな物ってなんだ？」
「私は、」
「あ、待ってくれ。当てる」
そう言って悩み出す轟さん。
答えは一分もしない内に返ってきた。
「……オムライス？」
「え、なんでですか？」
「なんとなくだ。合ってるか？」
「いや違いますけど」
反応でわかるものだと思うのだが……。
「私の好きな物はティラミスです」
「てぃらみす？」
「はい。ティラミスです」
「ティラミスか……食ったことねぇな」と言いながら、スマホでティラミスを検索し始めた。そんな検索する程か。
「今度一緒に食いに行かねぇか？」
「え？」
スマホから顔を上げて、爆弾発言をかます。
「それは……二人で？」
「そうだぞ？」となんの恥じらいもなく答えるものなので、一周回って冷めてしまった。
「……嫌か？」
嫌か、と聞かれれば勿論嫌だ。なんなら断りたいが、そうもいかなさそうだし……。
「わかりました。都合のつく日探しておきます」
ぱあっ、と轟さんの顔が明るくなった。
……やっぱりイケメンだよな、この人。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
