60.償いは自己満足 ページ11
ホテルの部屋の目の前で話が終わり、休息ということなので私は部屋に入ろうとした。
「……なんですか」
「俺も」
「は？」
「アイツといたくねぇ」
「焦凍ォォォォ！！！」
ヒートアップさせないで頂きたいのだがそれは。
「……わかりましたよ」
私は渋々轟さんを部屋に入れた。
中は豪華なお部屋で、地面に真っ赤な絨毯が敷かれていたり、絵画が飾られていたりしている。
「なぁ、時雨」
「なんですか」
「お前……子持ちだったのか……？」
……ああ、息子コンっていったときのことを引きずっているわけか。
「いや、いませんけど」
「……そうだよな」
分かってなら言わなくて良かったのでは？？？
「時雨は美人だし、彼氏はいてもおかしくねぇなって思ってた」
「ハ？」
「……なんて？」と聞き返すと、不思議そうな顔をしながら「時雨は美人だし」と続けたので「わかりました黙ってください」と制止させた。
「はあ、もう……」
「？ 顔赤ぇけど、大丈夫か？ 体調悪ぃなら親父に、」
「違います大丈夫ですから！」
……こんなに突っかかってきて、なんのつもりだろうか。
仲良くなる気なんて、一切無いのに。
「はァ……顔の良さって言うなら、貴方が何倍も良いでしょうに……」
「そうか？ ありがとな」
私は壁に額を当てて、ズルズルと膝を曲げて蹲った。
「大丈夫か！？ やっぱ体調が、」
「大丈夫です平気です出てってください」
「悪ぃ、それは無理だ。部屋にアイツがいるから」
……それくらい我慢してよ……。
「時雨」
名前を呼ばれたので、轟さんの方をちらりと見た。
轟さんは私の隣まで歩いてきて、そして視線を合わせられるくらいまで屈んだ。
「俺はお前と仲良くなりてぇ。……分かってる、お前にやったこと。だから俺は、」
「黙ってください」
できるだけ強い口調で、私はそう言った。
「迷惑なんですよ。
なんですか？ 償うって言うんですか？
私にして来たことを？ 誰がそんなの頼みました？
……全部、貴方の自己満足じゃないですか｣
そう言い終えると、轟さんは悲しそうな目をしながらも、微笑んだ。
「これは償いとかじゃねぇ。俺が時雨と話してぇからだ」
私の手を取った。
「お前が酔い止めくれたのも、ちゃんと話聞いてくれんのも、俺に何かは思ってくれてるからってのと、お前の優しさだよな。
本当に嫌だったら、時雨だってもうこの手離してるだろ？」
私は、ハッとしてその手を弾いた。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません、今手直し中です！今までご指摘がなかったので「まあいいか！」で流してしまっていました……！ (1月10日 16時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 設定以外の名前変換が機能しておりませぬ… (1月10日 10時) (レス) @page1 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月19日 0時
