2.推薦入試にて ページ2
春。雄英の推薦を受けて、そのまま月日が流れた。
花粉症の人が苦しむ季節。私は花粉症ではないのでその気持ちが分からないし、分かりたくもない。
電車を何度も乗り継ぎ、私は雄英へ向かった。
私の家は士傑高校に近く、雄英高校から限りなく遠い。東の雄英、西の士傑と呼ばれるくらいには。
最後の駅から出て、暫く歩くと雄英の大きな門が見えた。一番高い所の中心には、UとAの組み合わさった文字のようなものが。
──緊張する。
「ふー……ゲッホゲッホ！！！」
「大丈夫ッスか！？」
「ギャアアアア！？」
深呼吸したら変な場所に空気が入り、咳き込んだ上人に話しかけられて、私は尻もちをついた。
「大丈夫ッスか！！」
「だだだだ、大丈夫で、す」
手を差し伸ばされたので、私はその手を取って立ち上がった。男の人にしても随分大きく、ゴツゴツしている。体のガタイも良い。怖い。
「俺、夜嵐イナサッス！ あんたも推薦ッスよね！」
「は、はい……」
夜嵐さんが私が推薦だと分かったのは、推薦と一般の入試は別日でやるからだ。今日ここへ来る人は、推薦入試を受ける人間しかいない。
「時雨Aです……よろしく、お願いします、」
「時雨ッスね！ 入試頑張ろうッス！」
「は、い……」
体をすくめて、私は返事した。
「それじゃ！」と夜嵐さんは言い、返事を返す間もなく体を校舎の方に向けて走って行ってしまった。
「私も行かなきゃ……」
ベルトにチェーンでついた懐中時計を見て、私はその後をゆっくりと追った。
◆◆◆
「いっちに、さんし……」
ぐ、ぐっと体を伸ばしてリラックスさせる。既に更衣室で体操着に着替え終え、入試試験であるグラウンドに出たのだ。
個性の都合上、私は体を動かすことの方が多い。勿論、試験内容の都合で一切体を動かさなくても良いことがあるかもしれないが、ここは雄英。そんなこと無いだろう。
「っふぅ……」
「あ、さっきぶりッスね！ 時雨！」
「えッ」
声のした方を見ると、夜嵐さんがいた。少し折っていた腰を上げて、夜嵐さんの方に体を向かせる。
「同じ試験会場で良かったッスね！ と言っても、二グループしかなかったっぽいっスけど！」
推薦入試は、AとBの二グループに分けて行われる。私はAグループで、夜嵐さんもAグループだったらしい。
さっき知り合ったとはいえ、知人がいるのは安心できる。良かった。
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杏仁豆腐(プロフ) - まりもさん» すみません!!!!初期らへんはそこらへんガバガバで、後々直して行きます!!!! (1月10日 15時) (
レス) id: 83e1e19fb5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - 34話辺りから、名前変換が機能しておりませぬ！！ (1月10日 10時) (レス) @page42 id: 6f21c2cd01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅 | 作成日時：2023年12月16日 14時
