Opening show ページ7
アンがグループを組んで出場する
ライブイベントがあるらしい。
そこにはCandyのオーナーである依織さんや
ボーイの善さんも別のチームとして参戦予定だという。
「幻影ライブ。ですか？」
「そう！とにかく迫力がヤバいんだよ！見たらわかる！
ウチら皆で行こうと思ってたんだけど…」
「私が他の子と連番することになっちゃって」
「そ〜。一枚だけ余るんだよね！
だからAちゃん、どうかな？」
HIPHOPには縁がない人生だったし
前までの私なら絶対に断ってた。
ただ知り合いがステージに立つって聞いて
正直、興味はそそられる。
「誘ってくれてありがとうございます。
私で良ければ、ぜひご一緒させてください！」
「珍し！！…おっけー！当日は皆で楽しもうね！」
盛り上がりすごいから、動きやすい靴と服で
というドレスコードをきっちり守り挑んだイベント。
一言で言えば、圧倒された。
opening showに出ていた4組は
絶え間なく代わる代わる観客の心を掴んでいった。
披露された楽曲はどれも素晴らしく
会場の盛り上がりは体験したことないくらい。
まさに最高潮だった。音楽の力はすごい。
ステージ上のアンと目があった時は
心臓が止まるかと思った。
普段のアンもキラキラしてるけど、別世界の人だった。
驚いたそぶりを見せたのは、ほんの数秒で
そのあとは、こっちに向かってファンサまでし始めた。
一緒に来たキャスト達は歓声を上げて喜んでいた。
それより、気になったのは
出場者にもう一人、見知った顔がいたことだ。
でも、そんなはずはない。
だって彼はもう消えてしまったはずなのに。
「cozmezってどんな人達なんですか？」
何か知ってないかと聞いてみる。
「えー、Aちゃんcozmez推しなの？いがーい！
双子で色んな大会で賞金獲得してることしか知らないなあ」
誰に聞いても、彼の存在を疑問に思っている人はいなかった。
生きてた、のかな。
連絡くらいしてくれても…と思ったが、すぐに
別れの挨拶をされた私には関係のないことか…と落ち込む。
イベントからの帰り道、着信音が響いた。
滅多にならない電話を確認すると
発信元はアンだった。
「もしもし？」
「あ、Aー？ も〜。イベント来るなら言ってよ！
びっくりしちゃったじゃん！」
ぷりぷりと怒ってる様子が目に浮かぶ。
「ふふっ。あんなに人がいてよく見つけられたね」
「当たり前でしょ！僕は全員のこと見てるんだから！」
何気ない会話を交わす。
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作者名：わんしゃん | 作成日時：2022年12月29日 23時
