親友と呼べるまで ページ6
結局、押しに負けて
ショッピングに付き合ってる。
「え、これ？」
アンが選んだ私に似合う服は普段着ない系統。
確かにお洒落だけれども着こなせる気がしない。
何より露出度が高い。
キュートなトップスもオフショルダーで
スカートも膝上何センチよってくらい短い。
「いいから、早く試着してみて！」
袖を通して鏡へ視線を向ける。
映った姿に違和感を感じる。
「選んでもらえたのは嬉しいけど、やっぱり似合わないよ」
試着室の扉越しにアンに断りをいれる。
「お、着替え終わった？見せてみせて！」
言葉と同時に目の前にアンが現れた。
扉が開かれたのだと気づく。
「ちょっと！なに勝手に…」
「似合ってるよ！！すっごくかわい〜！
僕のセンス光ってるぅー！」
テンションの上がったアンは店員さんを呼び
あっという間にこの服を購入した。
自分で払うと言っても
僕が選んだんだからと一蹴されてしまった。
「そのまま着て行かれますか？」
「いや、」「はい！お願いします〜！」
この服装のまま、お店を出ることになった。
「本当に似合ってる。
この状態のAにはNo.1とられちゃうかも。」
「キャバ嬢にはならないの？」
アンの疑問に年齢のせいで出来ないと説明する。
「えっ！？Aっていくつ？」
「16だよ。あっ、敬語に戻した方がいい？」
「いいよ今更。
僕がタメでいいって言ったんだもん」
あと約2年かー、長いねー。
と言いながらアンが入ったのは靴屋。
「は、ハイヒールなんて、履いたことないよ」
「知ってる。いつもスニーカーだもんね。」
アンの手をとって立ち上がる。
ほぼつま先立ちの状態で歩を進める毎に
生まれたての子鹿のような姿を晒してしまう。
「あっ、アン！まだ手離さないで！」
「はいはい。しっかり握っといてあげる」
ヒールくらい履けないとキャバ嬢失格だよ。と
このハイヒールもプレゼントしてくれた。
アンの髪色に似たその靴は宝物になった。
そしてある決意を固めたのだった。
この日から、アンと出掛けるのが休日の楽しみになった。
トータルコーディネートのお礼に
次のデートでは食事を奢った。
そして、もうすぐ18になる頃には
すっかりファッションの楽しさに目覚めていた。
ローヒールの靴なら好んで履くようにもなっていた。
そんなある日、
ボーイの仕事を終えた後、
「AちゃんってHIPHOP好きだったりしない？」
そこそこ親しくしているキャスト達から声をかけられた。
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作者名：わんしゃん | 作成日時：2022年12月29日 23時
