世界はロックンロークで満ちている (ページ5)

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5．擦りむいた傷がズキズキと痛むページ5

ガチャガチャと物音を立てて再び出てきたと思ったら。

「僕、嘘ついちゃったんです。本当はここに住んでます。お金ないって言ってたから、これ。多分ホテルのお金足ります」

そう言って差し出されたのはピンと張った一万円札。

そして、

「血出てる」

右手の側面に貼られた絆創膏。

そのタイミングで近づいたときに見えちゃった。

本当に、見栄ってすごいよね。いつの間にか眠気なんかどっかに行ってしっかり復活してきた私の理性がこれはやばいって言ってるんだもん。

2週間前に一度見たきりで、あれ以来彼の写真なんか見てないのに。これだけで感づいちゃったよ。そういえば、ちょっと片言だしね。それに何より、あなたの声がこの2週間どれだけ頭の中を巡っていたか。

世界って狭いんだなあ。

「ありがとう、ございます」

「じゃあ、明日ちゃんと管理の会社に電話したらいいと思います」

あっさりと再び消えた彼。

pipipi..

「あ、もしもし岬さん」

「何だよ。俺一応まだ入院中なんだぞーー」

「芸能人に会ったことありますか？」

「そりゃあまあ仕事で会うだろ」

「ですよね。別に普通ですよね」

「A、なんかあったのか？」

「、、家の鍵をなくしました」

「アホか。今日はホテル行って明日朝一で探せ。な、そうしろ。そして俺は寝る」

ブチっと切られた電話からはツーツーツーと機械音が鳴っている。

「とりあえずホテル行こ、、」

うわーー。まじか、本物だ。本物のジェジュンだった。