世界はロックンロークで満ちている (ページ12)

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12．二度あることは三度あるページ12

死んでも携帯を落とさないことを心に誓いながら、発売前のジェジュンさんのアルバムの音源をそっとインストールする。

どの曲もめちゃくちゃ良いし素敵だけど、やっぱり私は私が作ったあの一曲が彼の声に一番合っていうと思ってしまう。6時間かけてくれたというだけあって、思った通りだ。

家に着くまでの帰路も、家に着いてからもずっとずっとアルバムをリピートしている。こんな素敵な人に悪態ついて、お金借りっぱなしって私って普通に最低だな、と我ながら呆れてしまう。

あの時貼ってもらった絆創膏は次第に汚れていって、かすり傷はもうすっかり見えなくなっていた。

それだけ、時間が流れてしまった。

時間が解決することも確かにあるけど、時間のせいでどんどん気まずくなっていく場合は一体どうしたら、、、？ああ、もう考えててもらちが明かない。

「アイスでも買ってこよ」

時計の針は9時を少し過ぎたころ。コンビニまでは徒歩5分もないし、よれたTシャツと変な丈のステテコだけどまあいいか。髪の毛も適当にくるっと結んで携帯電話と鍵だけ持って家を出る。財布も持たなくていいなんてすごい時代になったなあ。

お気に入りのワッフルコーンのソフトクリームと何故かもう片方の手でビールを持ってレジに並ぶ。

ピピッとお会計を済ますとなんだか気分も良くなって、さっき鬼リピしていたアルバムの中から歌詞を覚えていた曲を口ずさんでいた。夜の散歩ってなんでこんなに気持ちいいんだろう。

あ、違う。

彼の声が夜に合うんだ。

「Stay this time～ Will you give me a sign tonight」

確かそんな歌詞。

彼が歌う夜の歌。なんとも贅沢だなあ。

「今だけでいい繋ぎ止めてこの想いよ Can you feel my heart?～」

イヤホンなんか付けてないのに、繊細で儚くて、苦しそうで、消えてしまいそうな彼の声が脳内で響いている気さえする。駄目だな、完全に嵌ってる。

明日からの仕事に差し支えるからしばらく思い出すのやめなきゃな。

って、たったいま心に誓ったばっかりなのに。

「あの、あの、、！月島さん、」

「ジェ、ジュンさん」

何で私ってこういうときだけタイミング悪いかなあ。