できることなら…２【鬼滅の刃】

療やし 侵食 ページ26

一瞬だけれど





唇には感触が残っていた









『見逃して』





甘めの声を出しながら

耳元で囁くと

杏寿郎さんの肩がビクリと反応する





茶番はお終いだと言うように腕を外し

冗談ですと口を開くと





いや









『ッ………』









開こうとしたのだが









「……ん」



















塞がれてしまった





今度は逆に腕を頭に回され

動こうにもびくとしないし

その厚い胸板を押しても意味も何も無い









されるがままとはこういうことを言うのだ





少しでも気を緩めれば

舌でこじ開けられ中を侵食されるであろう

それは何としてでもやめていただきたい





けれど

勢いに負けて喰われてしまいそうだ

…時間の問題かもしれない





遂に舌が侵入しようとした時



















すぐそこに鬼の気配がした





先程のことが嘘のように切り替え

刀に手を添えながらふたり同時に走り出す





「手短に説明する

宇髄と竈門少年達が我々とは違う鬼を調査し

遊郭にいることが分かった

前に出ても情報のない我々では厳しいので

援護と人々を守るぞ」





私が頷くと煉獄さんは一瞬にして消える

このまま進めということだろう

宇髄さんがいるから何となく想像はしていたけれど

恐らく十二鬼月が遊郭にいる





酒の席でとある遊郭の頂点は

姫という名が入っているものばかりだと聞いた

非常に美しいとも





何年経っても美しいままだと









その十二鬼月は上弦に違いない

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