できることなら…２【鬼滅の刃】

療やし 報われ ページ23

面白いくらい





皆、私の姿に騙されていた

遊郭の前を通れば当然の如く遊女に声を掛けられる

金を持っているように見えるのか

それはもう沢山に





色々な所を転々と話歩く内に

とある男性から酒を誘われた

どうやら私以外にも酒を誘っているらしく

そこでわいわいと楽しみながら

情報を交換しているとのことでした





愛想の良い返事をし

夜にまたここを訪れると

年齢層のばらついた男性達が酒を飲んでいた





「お、随分と綺麗な顔が来たぞ」





一斉に私を見る男性達にひとつ笑い





『お邪魔するよ』





綺麗と言った男性の横に腰かければ

その男は直ぐに酒を渡してくれる





『すまない、礼を言う』

「酒の席なんだからそんな固くなんなよ」





ニカッと笑うその顔は決して美形ではないが

なんとも愛嬌のある笑顔だった

母性本能が引き出される感じだ









酒が深くなるのと同時に

その男との仲も深くなる

これまた話が合うのなんの





そろそろ限界そうなその男は

ぽそりと話し始めた





「遊郭に…誓った奴がいるんだ」





どうやら男は

その娘と目が会った瞬間に心を奪われ

そしてまたその娘も心を奪われたらしく

会って直ぐに愛を示したという

柵の向こう側の娘に





その娘はそこそこくらいの高い人だったので

人生全てを買うには相当の金が必要だった

男は仕事を何個も掛け持ちし

金はようやっと折り返し地点に来た





しかし





「折り返し地点で５年も掛かった

…あと５年待たせなければならない」





５年間、娘は男を待っていたのか

そしてそれはまだ半分





あぁ、なんて









報われない

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