できることなら…２【鬼滅の刃】

療やし バキリ ページ13

煉獄さんは





目を見開き固まっていた

あの時の善逸の様に





けれども









放たれた木刀は

煉獄さんの間合いに入る寸前で弾かれる





顔は驚いたままだったので

本能的に動いたのだろう





煉獄さんのは欠けただけだったが

私の木刀はバキリと折れてしまった

折れた拍子に親指がざっくりと切れてしまい

白い肌に映える赤が流れる





沈黙も流れ









「黄色い少年が想い人ではないのか…？」





善逸といい煉獄さんといい

一体何を言っているのだろうか

そしてやはり会話は一部聞いていたらしい





『ちゃんとご説明をお願いします』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





なるほど





『私が愛しい人を見るような表情をしていたと…』





確かに幸せに浸らないといけないが

そこまで言う程の笑みをしていたのは知らなかった

型を放っている時に鏡を見れる訳では無いので

確認はできないけれど





「俺すっごい吃驚したんだからな！」





善逸はいつも驚いている様な気もするが

…まぁ、別にいいか









『私は別に愛している人とかいないから』





そういうのはよく分からない





『なんでそんな顔をしていたのかは知らないけど

愛(あい)の呼吸だから何かしらあるのかもね』





書物にも表情のことなんて何も書いてなかったし

大して問題はない









「初めて見た呼吸だったけど

教えてもらった人からなにか聞けないのか？」





当たり障りのない質問だ

この流れでは出てもおかしくない

大丈夫





ドキリと跳ねた心臓を抑え

口を開くと









「すまない！！」





炭治郎が煉獄さんよりも大きい声を出し

善逸は私を気にしつつ耳を塞いでいた





「無神経な質問をしてごめん

無理に話さなくても大丈夫だから」





そうだ

炭治郎や善逸は感情が分かってしまうのだった

自分は今、どんな感情なのだろう





少なくとも





『ごめん、ありがとう』









決して良いものではない

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