この世界を壊しても (ページ44)

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『どうでした？僕たちの愛の結晶。良かったでしょう？なんたって愛し合ってますからね』

狂ってる
頬を赤くして興奮して話す男を見て思った

でも何より、ヨコに見られたというショックが大きかった

「良かったよ、すごく」

『でしょう！？だったらほら、早く、村上くんをこっち「お前がバカで」……は？』

「何で今俺がここでわざわざ見せてもらったか分かるか？ほんまに見せてもらいたいなんて俺が思ってるとでも思ってたんか？見たいわけないやろ、好きな奴の苦しんでる所なんて」

『苦しい…？』

「少なくとも俺には、苦しんでるようにしか見えんかったわ。あ、それとな、お前が見せてくれたおかげで、今後一生ヒナには会えんからな」

『 ……は？』

「何も用意せんと、ノコノコ来ると思ってたん？ここ、見てみいや」

そう言ってヨコが指した先には、光るモノ

＿＿＿ビデオカメラの録画ランプ

そこからは早かった

予めヨコが呼んどいたんやろう、警察が来て、男を連れて行った

最後の最後まで男は『村上くん、愛してます』と笑顔で俺を見つめた

男が見えなくなると同時に、絶叫に近い男の泣き声が聞こえた

窓の外から、パトカーにいれられる男を見て

やっと終わったんやって、これで終わりやって

そう安心すると、意識が朦朧としてきた

「 ……ヒナ？おい、ヒナ！！」

途切れそうな意識のなか、大好きな人の声が頭に響いた