【アルスマグナ】涙は枯れるまで【九瓏ケント】

第18話 ページ19

人1人いない廊下で
私は崩れるように泣いた
......声も出なかった


携帯で沙良に
『先、帰ってて』
とだけ打って送信


しゃがみ込んで
また泣き出した



ケント「.........美影？」



日直で見回りをしていた先生に
会ってしまった
それもこんな情けない姿で



ケント「美影......どうした」


先生は私に合わせてしゃがみ込んで
優しく背中をさすってくれた



A「なんでも、ないです」


泣きながらも精一杯出した声
辛いよ、ねぇ苦しい


ケント「......俺には話せないのか？」



A「......私、今日は...元気なので、大丈夫です」



本当に駄目だな
今日だけでも元気でいようって決めたのに



ケント「俺には、美影が大丈夫には見えない」


先生がこうして私に声を掛けてくれるのは
私が生徒でマネージャーだからで
ここで沙良が泣いていたら
きっと同じ行動をするんだろうな



A「......せん、せい」


顔を上げて先生を見る
先生の目に私がいる
それだけで満足だった



A「.........せんせ、い」


再び泣き出してしまった私を
先生は何も言わず
ただ抱きしめてくれた



ケント「......1人で全部抱え込むな」


耳元で聞こえた先生の声
先生の背中に手をまわした

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