玖 ページ10
「その、まさかなんだよ。
私がシルクたちに言った約束覚えてる?絶対に『おねがいごと』をしてはいけないってやつ。
ここの神様である『ヒジリさま』はどんな願いも叶えることができる。
…代償と引き換えに。
そして、『永久の夏』を望んだ4人の願いを叶えてしまった。夏に囚われることを代償にね。
本当なら強い願いしか『ヒジリさま』に届かないはずなんだけど、8月15日という日に、境界が曖昧な君らが境界線であるこの神社に来てしまった。
その悪い偶然が、『ヒジリさま』に願いを届けてしまったんだ…
シルクたちは大丈夫だろうけど、ここの秘密を知ったからって、それを利用しようなんて思わないで。
…願いは、叶えてもらうものじゃなくて、自らの意思で叶えていくものだから。」
「…」
思わず全員が黙り込んでしまう。
まさか、あの時の軽い気持ちがここまでの事態を招くなんて。
「俺たちが日常に帰る方法はないのか…?」
あまりにも非現実的な出来事に、戻る方法があるとは思えなかった。
けど、俺たちは9月に進まなくてはいけない。
終わらない夏も素敵かもしれないが、俺らにはそれより先の未来が大切だった。
それに、夏が終わらなければ、俺の想いも空蝉には届かない。
「大丈夫、安心して。私が必ずシルクたちの日常を取り戻すから。」
そう言った空蝉の目には真っ直ぐな意志が灯っていた。
その様子は、何故だか俺の心を酷く揺らしたんだ。
30人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんてん - え、もう感動して涙がポロポロ...。 泣けました!素晴らしいです!! (2019年10月25日 23時) (レス) id: e2668604a6 (このIDを非表示/違反報告)
どこか村のだれかさん - 気づいたら読み終わってました!面白かったです! (2019年9月9日 0時) (レス) id: 3706e8b566 (このIDを非表示/違反報告)
バニレ - とても面白かったです。更新待ってます。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 527198f7e6 (このIDを非表示/違反報告)
www - イエ―イ!面白いよ!相変わらず!w (2019年8月26日 17時) (レス) id: bb2f701b11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:來(らい) | 作成日時:2019年8月25日 21時