31話 ページ35
《モトキside》
初めて見る、Aちゃんのステージは、圧巻だった。
自分も立ったことのある3000人ほどの会場を1人で埋め、堂々と歌いきる彼女はどこか吹っ切れたような表情で楽しげだ。
そんな風に歌うAちゃんに、思わずこっちまで口角が上がってしまう。
他のメンバーも同様なようで、気が付けば一緒になって盛り上がっていた。
「やっぱるりさんはすげぇな…」
隣で見ていたぺけがそう零す。
そういえばコイツ、Aちゃんのファンなんだっけ。昔からの。
特にぺけはうちの歌担当ということもあり、ステージで歌うということには俺の何倍も思いがあるのだろう。
ぺけが感嘆するのも納得する。
それくらい、彼女のステージは輝いていた。
ライブも終盤に差し掛かり、Aちゃんが1度ステージを降りる。
「すごいですよね、るりちゃん。」
あとはアンコールを残すのみとなった時、1人の男性が俺に声を掛けてきた。
Aちゃんのかつての想い人であり、俺がAちゃんと出会うきっかけを作ってくれた人。
「天月さん!…そうですね、こんなステージを作りあげちゃうんですから。」
アンコールの声が響く会場を見つめ、俺はそう呟く。
「モトキさんは、るりちゃんのことが好きですか?」
「!?」
天月さんからの思いがけない言葉に、驚きを隠せなかった。
彼のことが好きだったAちゃんの想いを受け止めなかったくせに、何を言うのだろう。
「ごめんなさい、驚かせちゃいましたね。」
あはは、と天月さんははにかむ。
「天月さんは、Aちゃんの気持ちに気付いていたんですか?」
俺がそう聞くと、彼は静かに頷いた。
悲しいような、申し訳ないような、複雑な表情を浮かべながら。
気が付けばアンコールは始まっていて、天月さんは仄かに熱のこもった目でAちゃんを見る。
「確かに、気付いてました。でも、俺には彼女の想いを受け止めるほどの器量はなかった。
俺も、彼女のことが好きだったかもしれない。未だにわからないんです。
ただ、彼女がこの前のライブ終わりに突然電話を掛けてきて、その時に思いました。」
そこまで言って、天月さんは話を止める。
「何を…ですか?」
「あ、もうそろそろ始まりますよ。るりちゃんのMC。彼女の気持ち、受け取ってあげてください。」
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もきたん - 星の数が足りない〜ポチポチポチポチ (2020年9月13日 10時) (レス) id: 0ceb3868db (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - LINEのところの吹き出しってどうやりますか?私も登校しているのですが、やり方が分からなくて…教えてください!この作品大好きです! (2019年10月25日 20時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - 一気読みてしまいました…笑素晴らしいお話でした!!!天月くん視点の話も見てみたいです! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 4a658d8cff (このIDを非表示/違反報告)
ここぐみ - 付き合ってからの二人が気になる! (2019年9月6日 19時) (レス) id: 08670c7dca (このIDを非表示/違反報告)
せいら/うおたみん(プロフ) - 付き合ってからの2人、気になります!お時間があれば、ぜひ作ってください(´∀`)次回作も楽しみにしてます(*^^*) (2019年9月3日 21時) (レス) id: 2c14e8117c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:來(らい) | 作成日時:2019年8月13日 2時