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14話 ページ16

《モトキside》



「あのさ、見てて辛いんだよね。君のこと。」



いつまでも自分に嘘をつき続ける。

そうやって、自己暗示をかけることで自分の身を守っているんだよね。

本当は大丈夫じゃないことなんてわかってるのに。





目の前の彼女の様子は、まるで学生時代の自分のようだった。


誰かに頼らなくても大丈夫。自分はそんなに弱くない。

そう強がって嘘をつき続けるうちに、他人への頼り方がわからなくなってしまうんだ。



そしていつか、音を立てて崩れ落ちる。





「モトキくんは優しいね。ありがとう。

でもね、本当に大丈夫だから！」





それでも尚、『大丈夫』と言い張る彼女。



たぶん、今の俺にはAちゃんの心は溶かせない。



「そっか。けど、頑張りすぎないで。

よければさ、メシとか誘ってよ。俺もまたAちゃんと話したいし。」



俺が思わず見惚れてしまったあの瞳に、悲しい色は混ぜたくなかった。







「じゃあ、この辺で。またね！」



そう言った彼女は、自分の家へと帰っていく。

その姿を見送った俺も自身の家へ向かって再び歩きだした。







きっと、この気持ちは恋とは呼ばないと思う。けれど、純粋に、心の底から、彼女を救いたいと思った。

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