【オリジナル】死人に口無し (ページ4)

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「薄汚れた体育着」ページ4

びしょ濡れのままでは
風邪をひいてしまう。
誰にも見つからないように
こっそりと教室へ戻り
カバンを開いた。
体育着を探しているが、
カバンの中に入ってあったはずの
体育着がない。
まさかと思いゴミ箱を覗いたら
...やっぱりあった。
体育着の上にはゴミがたくさん
あり、薄汚れていた。

まゆ「はー...マジか」

呆れてものが言えない。
最近どんどんとエスカレートしている、
前までは陰口を言われるだけだったが
今は物を隠されたりと酷いことを
されているのだ。
少女はゴミを払い、体育着を着た。

まゆ「臭いなぁ...」

と溜息をつきながらそう言った。
汚いし、濡れるし、
本当に意味が分からない。
そう思いながら、
カバンをもってまゆは教室を出た。

家に帰り、いつもの調子で
ただいまと明るく言った。
するとスリッパで走る音が聞こえると
思ったら居間の扉を開き

「おかえり、まゆ！」

母が明るく答えた。
私と母は二人暮しをしている。
父は今仕事の都合で
海外へ行っててしばらくは会えないのだ。
母は父がいなくて寂しいはずだが
「まゆがいるから大丈夫だよ」と
いつも言ってくれる。
すると

「ねぇ、まゆ。
どうして体育着を着ているの？
校則では制服で登下校のはずだよね。
それに...体育着だって汚れてるし...
何かあったの？」

まゆ「...あー、うん。
制服は掃除のときにびしょ濡れに
なっちゃってさ、
体育着を来て帰ってきたの。
体育着は授業中に汚いところで
転んだから、ちょっと汚れてるけどね。」

我ながらいい嘘だ。
母には悪いが本当のことは言えない。
言えるわけがない、心配かけてしまう。
母は納得した顔で

「そっか、じゃあ先にお風呂に入る？」

と優しく言った。
母はいい人だ、まゆは少し微笑み

まゆ「んじゃそうするね」

と言った。