先輩は片足手纏い【男主】

9＿ ページ10

『正直アンタら何も仕事しないし、仕事しない癖に俺らには文句めちゃんこ言うし嫌いなんだよね〜。
未来あるなんて微塵も思ってないくせにさぁ灰原責める時だけ使ってくれちゃって。


今ここで殺しても
高専関係者は文句言わねぇと思うけど。』

灰原が唸り、冷気と殺気が漂う。
ゴクリと唾を飲み込む音だけが響く程静かになった部屋にはその静かさを破るかのようにパキパキと音を立て足元から伸びる氷が徐々に部屋を包み込んでゆく。
吐く息すら白く、部屋の中とは思えぬ程寒い。

｢……何故そこまで執着する。｣
『可愛い後輩が居なかったからってそう嫉妬すんなよ、守りたいだけだ。可愛い後輩が居なかったお前らとは違って。』

そう言い睨むと懲りたのか、もういいと俺達を部屋から追い出す。
氷で支えを作っていたとは言え、片足立ちで術式使うのは危険だなぁ。

『凍傷くらいさせときゃ良かった…はぁ…。』
夜蛾｢！ A、無事か。｣
『あたりめーだろ、ちょっと術式使ったけど。』

夜蛾センは何も言わなかった、俺が理由も無く使う奴では無いと知っているからこそ怒れないのを俺は知っている。

『夜蛾セン灰原持って、これ以上引き摺るのは可哀想。』
夜蛾｢引き摺って来たのか？｣
『片足、術式で体力使って男子高校生担げられると思うか？』
夜蛾｢……。｣

黙るのは夜蛾センのお得意分野らしい。
大人のそういう所が嫌いなんだけどな。


『(アイツら次会ったら殺そ)』

10＿→←8＿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す