水が9L ページ9
今日は、雨の影響で珍しく掃除仕事が無くなった。
その代わり、普段よりも倍の洗濯が私を待っていた。
「あはは！ルフィなにしてるの？はは」
「おめぇ！すげぇー顔してるぞ！ぶはは」
「すんげーだろ！？にしし」
雨なのにも関わらず、甲板に出て走り回ったり顔遊びをしたりして遊ぶルフィ達。
風邪を引くぞと忠告しているチョッパーの言葉を右から左へ流して、彼女までもが遊んでいる。
昨日の内に洗濯しておいたものは、全て部屋干しして事が終わっているというのに次々に洗濯カゴへ服が入れられていく。
「おいルフィびしょびしょじゃねぇか！」
「レディも早く着替えて中へ入った方が」
チョッパーとサンジさんがそれぞれに話しかけ、屋根の下で着替えさせるがその後すぐにまた甲板へ出ていくルフィとそれに連れられるウソップ。そしてそれについて行く彼女。
永遠と増えていく洗濯物を見つめ、いつ手洗いを始めようかと悩んでいる私を無視するようにして降り続ける雨とこの荒れた天候の中で騒がしい音を立てる海。
『いっそ私ごと呑み込んでくれれば』
いつの間にかゾロゾロと部屋に入っていった皆とは反対に、雨に打たれながら甲板にポツリと1人で立っている私。
濡れたまま部屋に入る訳には行かないよね。
目線を遠くの空へ移せば、少し光が見えた。
きっともうすぐ晴れる。
「あはは！」
「すんげぇーな！」
きっとモヤモヤも晴れる。
光が、光さえ差し込んでくれれば。
私に光があれば。
数時間後に雨が上がり、太陽が雲から顔を出した。
それを確認すると部屋の中に居た皆が足を揃えて、甲板へ出てくる。
ルフィ達は、また服を着替えて私の手元のカゴへ入れていく。
「サンジくん、私お腹すいちゃった」
「はぁ〜ん！♡そう言うと思って用意してますよ〜♡♡♡」
「サンジ！俺にもくれ！」
サンジさんから出来たてのホットケーキを手渡してもらって喜ぶ彼女を横目に、そういえば今日まだ何も食べてないな。とオレンジ色の空を見上げながら思う私。
これ以上何も考えないように、冷えきって重い体を動かして船の裏へ向かう。
『私の服は…………明日洗濯すればいいか。』
洗濯する場所も、山のようになったカゴに入れられる場所も何もかもが無くて、自分の濡れたまま着ている服も後回しにする。
太陽が上がったばかりなのに、もうすぐそこには月がある。
私に光は無い。
『そんな存在もいない』
あるのは、
彼女とルフィ達の穏やかな声だけ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1508人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» その為、作中他の女性陣にもメロメロになっているシーンがありますのでこれといって特別恋愛感情がある訳でも描写している訳でもございませんが、今後の展開も含めてご自由にご解釈なさって頂ければなと思います。この度は、コメント有難う御座いました。 (6月11日 3時) (
レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» 傷が何かしらで開いてしまった際に対応できるように”治るまでは、船にいて”の意味合いがあります。また、サンジは夢主の事は仲間という認識です。恋愛意識は無いですが、他の女性陣同様キャッキャさせております。 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» まず1つ目として、夢主は深い傷を背中におっています。傷もまだ治りきっておらず、海の中に潜り手を伸ばし力を入れるだけで傷が再度開いてしまう。というものを作中で表現させて頂いております。そのため、傷を負っている夢主から目を離さないように、 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» 御意見御感想をお寄せ頂き誠に有難う御座います。本編の拙い文で理解ができない部分が多々ありましたようで、大変申し訳御座いません。此方のコメント欄にてお答えさせて頂きます。 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
ときたま忍者になる大根(プロフ) - 夢主がみんなに嫌われていなかったというのはわかるんですが、それならなぜ外出させてくれなかったんでしょうか？あとサンジの夢主への態度がほかの女性とは違う気がするのですがこれはサンジが夢主のことを恋愛的な目で見ているからなど意味が含まれているのですか？ (6月10日 5時) (レス) id: 2086425a99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月26日 0時
