水が36L ページ36
静かに開く扉の音と共に、控えめに鳴る足音。
自然とフワフワとした毛布から、音の鳴るほうへ視線を動かす。
「どうして」
少しの沈黙の後、戸惑うように目を白黒させて泣きそうな顔で言う。
『どうして…だろうね。自分でもわかんない』
そんな彼女に、あやふやな回答をすれば更な苦い顔をする。
「なんで、なんでなの。もっと、言えばいいじゃない。もっと、キツく、なんなのよって、早く消えろって……」
「そうじゃないと、わたし、」そう、酷く脅えた声で言う彼女。瞳は涙で潤んでいて、噛んでいる下唇が赤くなっていた。
『言ったら、貴方だけが楽になっちゃうじゃない。』
1人だけこの苦しさから逃れるなんて狡いもの。
私、貴方程じゃないけどそんなに優しい性格してないから。だから、言ってあげない。
にっこりと笑ってそう伝える。
そうすれば、益々険しくなる彼女の顔。
なんだか、少し前の私と似ている顔だった。
” いつまでもここに居るんじゃないわよ！ ”
『わたし、前に背中を刺されてそれ以来戦闘が出来なくなったんだ。』
「え」
『だからね、少しでもみんなの役に立ちたくてここに居させてもらって色んなことをしてるの。』
彼女の涙を指で拭いながら、顔を覗き込む。
『貴方は、どうして船に乗ったの？』どこか核心を突かれたような表情をして目を見開く彼女。
少し躊躇ってから小さく口を開く。
「本当は、私自身を、本当の私を認めて欲しかったの。必要とされたくて、誰かに見て欲しくて。」
「でも、でも、」大粒の涙を溢れさせる彼女の手をそっと握れば、震えた唇を動かす。
「わたし、Aちゃんに酷いこと沢山した。貴方が羨ましかったから、みんなに認められてる貴方が眩しくて、本当に、ごめんなさい。」
『そうだね、すっごく辛かった。』
「ごめん、なさい、！」
『でも、もういいよ。許す。』と絞り出した声で伝える。
怖かったし、苦しかった。それは、もちろんある。
でも、こうして彼女は自分がしたことの何がいけないのかをきちんと説明して理解出来ている。
だから、きっともう彼女は同じ過ちを繰り返さない。
でも、このまま許すのは少し癪だから、
『ルフィ』
「おう！まかせろニシシ」
「え？え？え？」
何処からか出てきたルフィに担がれ部屋を出て行った。
次に聞こえたのは、海の中に人が入る音。
甲板に出て、船へ上がってくる彼女に手を伸ばす。
『これでお相子。』
彼女は、そっと手を握って謝った。
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パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» その為、作中他の女性陣にもメロメロになっているシーンがありますのでこれといって特別恋愛感情がある訳でも描写している訳でもございませんが、今後の展開も含めてご自由にご解釈なさって頂ければなと思います。この度は、コメント有難う御座いました。 (6月11日 3時) (
レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» 傷が何かしらで開いてしまった際に対応できるように”治るまでは、船にいて”の意味合いがあります。また、サンジは夢主の事は仲間という認識です。恋愛意識は無いですが、他の女性陣同様キャッキャさせております。 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» まず1つ目として、夢主は深い傷を背中におっています。傷もまだ治りきっておらず、海の中に潜り手を伸ばし力を入れるだけで傷が再度開いてしまう。というものを作中で表現させて頂いております。そのため、傷を負っている夢主から目を離さないように、 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» 御意見御感想をお寄せ頂き誠に有難う御座います。本編の拙い文で理解ができない部分が多々ありましたようで、大変申し訳御座いません。此方のコメント欄にてお答えさせて頂きます。 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
ときたま忍者になる大根(プロフ) - 夢主がみんなに嫌われていなかったというのはわかるんですが、それならなぜ外出させてくれなかったんでしょうか？あとサンジの夢主への態度がほかの女性とは違う気がするのですがこれはサンジが夢主のことを恋愛的な目で見ているからなど意味が含まれているのですか？ (6月10日 5時) (レス) id: 2086425a99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月26日 0時
