体調が不良気味のようです【QK】-9-

痴漢 / izw -青狼さんリク- ページ44

伊沢｢っ……｣


今日もオフィスに行くため、いつもの電車に乗る。


つまりは、これもある訳で……。



初めてされたのは1週間くらい前で、それから毎日されるようになった。


最初はまさかっていう感じだったし、何が何だか分からなくて


怖さと気持ち悪さしか感じなかった。


された時って、本当に声が出ないんだね。


思考が止まって何も出来なかった。


兎に角早く時間が過ぎてほしくて、目的の駅に着いてほしくて。


解放されるのを待つしかなかった。



やっと解放されたのに、その日には留まらず


毎日毎日繰り返された。


毎日怖い思いをしてオフィスに行って、平静を装ってはいつもの伊沢拓司を作る。


口角、ちゃんと上がってないんだろうなー。とか


目、笑ってないんだろうなー。とか


思ってはいるけどどうしようもなくて


取り敢えず、仕事に気を取られるように頑張りながら、家に帰ったら明日の自分に｢頑張れ｣と念じた。


心の中では限界近くまできているけど、電車に乗らなかったら仕事が出来ないし。


1本早い電車とか、それが出来るなら遅刻なんてしないし。


でも怖い。


思考が綺麗な円を描くように、堂々巡りで時間だけが過ぎていく。


そして、諦めてまた今日も同じ電車に乗る。


ただ、何回されたって慣れる訳ない。


気持ち悪い。


オフィスで笑顔を作るのも辛くなってきた……。



福良｢伊沢｣


伊沢｢福良さん、川上。2人ともどうしたの？｣


みんなが帰った静かな執務室で急に名前を呼ばれた。


川上｢福良さんと2人で話してたんですよ。最近、伊沢さんの様子が可笑しいって｣


福良｢いつも何かに怯えているような感じがするからさ。何かあったの？｣


2人が訊いてきたからかな？


俺の中で何かが溢れだしてきた。


伊沢｢実は、1週間くらい前からなんですけど……｣


福良｢うん｣


伊沢｢俺、痴漢されているんです｣


川上｢え、痴漢ですか！？｣


2人ともめっちゃ驚いている。


そりゃあそうだよな。


多分、俺が2人でも驚いている。


痴漢って普通その時だけだし、毎日されるようなものじゃないから。

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