四杯目 ページ5
− G Side −
あれからも俺は変わらず店に通った
「あれ、なんか今日いつもより可愛いね?」
出来るだけフラットにそう言う
彼女は俺の様子になんて気付いていないようで、そうですかね?なんて軽く言った
俺、好きでもない人に可愛いなんて言わないんだけどな
この歳になって年齢が上がるほど、好きという二文字を言うのが難しいと知った
「まあ普段も可愛いけどね」
こんな言葉でしか俺の好意を伝えられない
それでもそんな俺の努力は虚しく、彼女には全く届いていないみたいだ
こんな素敵な子が俺みたいなおっさんを好きになってくれることなんてあるのだろうか
一か八か、勝負に出てみるか?
今は店内に2人っきりだし、チャンスは今しかない
俺はコーヒー豆と睨めっこしていたAちゃんに意を決して話しかけた
「ねえ、Aちゃん」
『はい、何ですか?』
「Aちゃんってさ、恋人とか…いるの?」
俺の直球な質問にAちゃんが真っ赤になって固まる
静寂に耐えていると、動揺した声でようやくAちゃんが答えてくれた
『い、いませんよ!私そういうの疎いんです』
この反応はまさか
いやでも、可能性があるってだけで確定した訳じゃないし…って俺は何を悩んでるんだ
ここまで来たらもう勢いで言ってしまえ
もし断られたら、その時考えればいい
俺はグッと顔を引き締めた
告白なんていつぶりか分からないくらいだし
気の利いたセリフなんて思いつかないけれど
神様今だけ、俺に勇気をください
「じゃあ…俺が彼氏に立候補しても、いい?」
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kotorei - 最高でした…‼︎これからもまったりと待ってます‼︎大好きてす‼︎ (2022年5月8日 9時) (レス) @page26 id: dc0273847d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:燈 | 作成日時:2022年3月18日 3時