ソノ恋ハ、珈琲ト共ニ (ページ21)

今日:9 hit、昨日:8 hit、合計:7,966 hit

一杯目ページ21

カフェといってもコーヒーが大好きな私のこのお店はほとんどコーヒー専門店と変わらない

だけど最近になってお客さんの数に伸び悩んでいた

やっぱり色んな人に訪れて欲しい

だから私は少しずつメニューを増やしていた

にしても彼はコーヒーを頼まなかったな…

もしかしてコーヒー飲めなかったりするんだろうか

そういう人も楽しめるようにコーヒー以外の飲み物も増やさなきゃな

そうこうしているうちにランチは完成した

うん、上出来

『お待たせしました、ランチメニューです』

「ありがとうございます」

カウンターに戻ってちらりと盗み見する

いただきます、と軽く手を合わせてからガツガツと食べてくれている

気持ちのいい食べっぷりだ

よっぽどお腹がすいていたのかな

「…うまっ」

『…本当ですか！？』

ボソリと聞こえたそんな声に思わず反応してしまう

彼は驚いたようにこちらを見た

『あ…すみません、ランチメニューは今日始めたばかりで…あなたが頼んでくださったお客さん第一号なんです』

なるほど、と頷く彼は先程より優しい顔をしていて

「本当に美味しいです」

そう言ってにかっと笑う彼は何故か輝いて見えた

『あ、ありがとうございます』

…不覚にもその笑顔にドキッとしたなんて言ったら彼の顔はまた曇るだろうか