ソノ恋ハ、珈琲ト共ニ (ページ15)

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一杯目ページ15

チラッと見えたスマホの画面には、誰かからのLINE

うっしー…？

牛なんとかさんなのかな

そんなことを考えていたら、彼を驚かせてしまった

この人…意外とビビり？

お客さんの特徴やクセ、性格なんかを知ること出来るのがこの仕事の面白いところだ

今この時間はこの牛なんとかさん1人しかお客さんがいない

私はカウンターの奥から遠目で彼を見つめる

その日から常連となってくださった牛なんとかさん

そこそこに親しくなったある日、また彼しかいない日が出来た

私はとうとうずっと気になっていたことを質問してみる

『あの…前から気になっていたんですけど、牛がつくお名前何ですか？』

「…え？なんで、それを…」

『す、すみません！以前携帯の画面に＂うっしー＂と見えたので、そうなのかなぁと』

謝って理由を述べると、彼はなるほど…というように頷いた

「いや、別に本名ではないんですけどね。仕事上そう呼ばれてるっていうか」

そう言って困ったように笑う彼に迷惑だったかと慌てる

彼は大丈夫ですよ、と優しく笑ってくれた

『心の中でずっと＂牛なんとかさん＂って呼んでました』

正直にそう告白すると、一瞬目を丸くしたあと彼は盛大に吹き出す

「牛沢って言うんです。ユーザーネームっていうかハンドルネームっていうか…まあそんな感じで」

『牛沢さん！覚えました！』

そう言うと彼の頬がほんのり赤くなった気がした