ソノ恋ハ、珈琲ト共ニ (ページ11)

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四杯目ページ11

とうとう3度目の雷によって店内は真っ暗になってしまった

「…っ停電か。Aちゃん？Aちゃん大丈夫？」

少し離れていたレトルトさんは私を気にして探してくれているみたいだ

しかし腰が抜けてしまって立てないままの私

手を借りようか迷ったが、ここは致し方ない

『すみません…腰が抜けてしまったみたいで…手を貸していただけませんか？』

「そうなん！？俺は全然構わんけど、大丈夫？」

そう言いながらここだよ、と優しく教えてくれる

真っ暗で何も見えない中、私は声を頼りにレトルトさんの手を握った

『すみません…少しの間このままでいてもいいですか？』

小さい頃からダメで、と自分を笑うとレトルトさんは笑わないで優しい顔をする

「無理に笑わなくてもええよ、俺がついてるし」

今恥ずかしいこと言ったかな、俺！？なんて私を笑わせようとしてくれるところも本当に優しい

怖いはずなのにレトルトさんのそういうところが好きだな、なんて思ってしまった

お客さんにそういう感情は持たないようにと決めていたのに…

格好いいのに可愛らしさもあって、優しいレトルトさんに堕ちてしまったみたいだ

『ありがとうございます、レトルトさん』