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『ありがとね』
そう告げると、こちらを向いていたハクの視線が下を向く。
そんなハクの眉間に手をのばし、指でつつたりシワを伸ばしたりしてみた。
『……だけどね、ハク。これだけは忘れないで』
ハクは下ろしていた視線をこちらに戻し、私達は目が合う。
『あなたはひとりじゃない。なんてったってこの私、貴方のお姉ちゃんがいるからね!』
胸を張って鼻高々に言ってやった。
ハクは責任感強いからね。このままだと1人で突っ走っていきそう。長年共に居た勘がそう告げている。
だから言葉にして言ってあげないとね。ハクは、ちゃんと言ってやらないと伝わらない鈍感な所があるから
未だにハクの眉間弄りを止めずに話を続けた。
『ハクにその自覚がないのなら、私は生まれたての鳥みたいにずっと貴方の傍を離れない。ご飯はもちろん、普段生活してる時もずっとよ?厠の時だってついてくからね』
ハク「変 態」
『嫌なら1人で背負おうとは思わないことね』
そろそろしゃがんでいるのが辛くなってきたので、眉間弄りをやめて、ヨナとは反対方向のハクの隣に座り直した。
『さっ、後のことはお姉ちゃんに任せて寝なさい。今は体力温存よ』
ハク「……あぁ、そうする」
そこで会話が途切れた。
風や木々が揺れる音がするなか、少しこれからのことを考えた。
スウォンは、このまま行くと追われる身になるって言ってた。スウォンが交戦した相手がハクだと仮定すると、陛下への反逆とヨナの失 踪はハクが犯人にされる可能性が高いな…
ヨナは陛下によりあまり公に出されていない。ヨナの顔を知らない、そして信頼出来るかつ比較的安全な場所……うん、風の部族しかないな。そこで生活させるか
問題はハクだけど……このまま風の部族に留まっても大丈夫なのか?相手は国だ。何をしてくるかわからない。それならヨナにもいえる話か。うーん
私が身代わりになるのは……いや、私がスウォンと会う前から、ハクとヨナを城内で捜索していたとなると厳しいかも
やはり遠くに逃げるしか…
もっと他に良い最善策がないかを考える。
あぁこんな事になるな……いや弱音は吐かない!
ちらっとハク達の様子を確認する。よくよく見るとハクはまだ目を閉じていなかった。うそでしょまだ起きてたの?!
もうホント世話の掛かる子だわ
『…寝られないなら膝枕したげよっか?ヨナには好評なのよ』
ハク「いらん」
『即答』
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蒼月(プロフ) - クロウサさん» リクエストは前回にも述べさせて頂いたとおり、お作りすることはいたしません。理由と致しましては、作品制作に関してのリクエストは受け付けていないためです。長い期間をあけての返事となってしまい、大変申し訳ありません。引き続き読んで下さると嬉しいです! (12月21日 23時) (レス) id: 4a50e4cc53 (このIDを非表示/違反報告)
クロウサ(プロフ) - この前の、リクエストの件書いてくださいますか? (9月4日 7時) (レス) id: 004a3e734e (このIDを非表示/違反報告)
クロウサ(プロフ) - 大丈夫ですよ。 (9月3日 3時) (レス) id: 004a3e734e (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - クロウサさん» すみません!!今誤字っているのに気が付きました!!初めて!じゃなくて初めまして!です!!すみません!!何とも恥ずかしい間違いをしてしまいました!! (9月2日 23時) (レス) id: 4a50e4cc53 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - クロウサさん» 初めて!コメントありがとうございます!こちらこそ この小説を読んで頂けてとても嬉しいです!リクエストなのですが、申し訳ありませんがお作りすることはいたしません。本当にすみません。成り代わりではありませんが、引き続きこの小説を読んで下さると嬉しいです! (8月30日 22時) (レス) id: 4a50e4cc53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼月 | 作成日時:2023年3月21日 21時