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周囲の木々が風に揺られ、ざわざわと音を立てる。まだ夜だが、直に日の出の時刻になる。
あの後、スウォンの言う通りに東門から城を出た。別にスウォンの言う事に素直に従ったわけではない。ハクが逃げるとして行くのはやはり信頼できる自分の故郷だと私も思う。城の東門は風牙の都と他の出口より近いし、何より身を潜めることが出来る広い森が存在する。
門の後ろに森が続くと言うなれば、必然と警備は少ない。よって合理的に判断して東門から出たのだ。多分ハク達も同じことを考えてここから出ているだろう。
そう考えると、スウォンは私を本当に逃がそうとしたことになる。スウォンは一体何がしたいの………?
そして現在。私は木にもたれ掛かり、近くで採ってきた山菜を食べている。ある程度城から離れた所まで移動してから、少し休憩することにしたのだ。調子が整っている方が捜索は捗るしね。食べ終わったら直ぐに2人の元へ向かおう。
__そう思うのだが、食べ終わってもなかなか立つ気にならない。長く付き合ってきた友の裏切りは少し、いや大分こたえていた。
でも私よりハク達の方の精神が心配だ。だって2人は私より長くスウォンと付き合いがあるんだ。衝撃を受けただろうし、それはもう傷ついたはずだ。特にヨナなんて、恋した人が最愛で唯一の家族を殺 したのだ。計り知れない絶望を感じているだろう。
そう考えた上で、今はハク1人でヨナを連れて逃げている………
はあ………姉がこんなんじゃ、ハクが可哀想だ
『……よしっ』
自分の頬を両手で叩き、気合いを入れ直す。
待っててね2人とも
そう思いながら立ち上がり、辺りに耳を澄ませた。
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_ ▼ハク視点
ガサッ
土を踏む音がして目が覚めた。誰かが近づいてくる、そんな気配がした。
ハク「……姫さん。姫さん、起きて下さい」
隣でまだ寝ていた姫さんを軽く揺すって起こし、彼女を背に大刀を静かに構える。姫さんも状況を察したのか、俺の服を掴んでくるのを感じた。
蛇に噛まれた足がチリっと痛むが、差程問題はない
ガサガサガサ………ガサッ
木々をかき分ける音。音からすると1人のようだ。……もしや
構えは解かず、じっと音のする方を見る。
夜のため辺りは暗い。光となるものは月だけだった。
そんな月光が捉えたのは紫の髪
『ハク!!ヨナ!!』
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蒼月(プロフ) - クロウサさん» リクエストは前回にも述べさせて頂いたとおり、お作りすることはいたしません。理由と致しましては、作品制作に関してのリクエストは受け付けていないためです。長い期間をあけての返事となってしまい、大変申し訳ありません。引き続き読んで下さると嬉しいです! (12月21日 23時) (レス) id: 4a50e4cc53 (このIDを非表示/違反報告)
クロウサ(プロフ) - この前の、リクエストの件書いてくださいますか? (9月4日 7時) (レス) id: 004a3e734e (このIDを非表示/違反報告)
クロウサ(プロフ) - 大丈夫ですよ。 (9月3日 3時) (レス) id: 004a3e734e (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - クロウサさん» すみません!!今誤字っているのに気が付きました!!初めて!じゃなくて初めまして!です!!すみません!!何とも恥ずかしい間違いをしてしまいました!! (9月2日 23時) (レス) id: 4a50e4cc53 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - クロウサさん» 初めて!コメントありがとうございます!こちらこそ この小説を読んで頂けてとても嬉しいです!リクエストなのですが、申し訳ありませんがお作りすることはいたしません。本当にすみません。成り代わりではありませんが、引き続きこの小説を読んで下さると嬉しいです! (8月30日 22時) (レス) id: 4a50e4cc53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼月 | 作成日時:2023年3月21日 21時