【d!】85%の敬愛 (ページ16)

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『あ，いらっしゃったんですか…』

反射的にベットから退き羽毛で作られたような肌触りのいいカーペットに正座した私を，彼は笑いながら見下ろす。

｢もうショッピのことコネシマなんて言わんといてな？本物は俺や！｣

光を受けて輝く金髪，私を見据える水色の蒼い瞳。彼はそう，先程私が名前を覚えられなかった人，コネシマさんだ。申し訳なさでもう頭にインプットされている。

｢見てておもろかったで，ベットダイブ。声掛けずに観察しとって正解やったかもな｣

『光栄ですありがとうございますところで近々記憶を消されるご予定は？』

誰だからとか関係なく素直に見られていたのが恥ずかしい。てか改めて考えるとこの人最初から見てたってことだよね？なんで気付かなかったんだろう私。

｢他の奴らが言ってた通りやな…近くで見ると可愛ええ顔しとるわ｣

『ゾムさんにも言われたんですけどそれ暗号ですか？』

本日2度目の意味不な可愛いと言う言葉にまたもや頭の中がパニックで覆われる。

｢え？いや，多分俺もあいつも素直に褒めとるだけちゃうか？ゾムは多少…いや結構やばい奴やから分からんけど｣

成程，ゾムさんはお仲間さんも認める変人さんというわけか。名前を出した瞬間彼の顔が濁った。何も言われずともその表情を見れば大方察しがつく。
てか私じゃあ今日で2回褒められてるってことになるな。だが私は容姿が優れているわけでも行動が華奢なわけでも(なにせベットダイブを楽しむ女だ)ない。何度かは可愛いと言われたこともあるが大体親戚のおばちゃんが｢大きくなったね〜｣の後に言ってくれる子供に対する可愛いだ。

｢俺の女になればその借金も帳消しにしたるぞ？悪くない考えちゃう？｣

軽々と何を言っているんだこの人は…
私は交際経験がない。言い訳のように聞こえるかもしれないが男の人にあまり興味が無いのだ。『あ、あの人かっこいい』と思うことはあってもそこで終わり。その先の感情には辿り着けない。

｢そう訝しげな顔すんなや，冗談やて冗談｣

真顔で死んだ魚のような目をする私に，彼はそう言った。冗談が言える人で良かった。今までまともな人に会っていないから冗談が冗談に聞こえなくて困る。
この人は意外と常識人なのだろうか。外人さんみたいな見た目ではあるけどガッツリ関西弁だし，外見と中身のギャップが激しいという言葉がぴったり当て嵌る人なのだが…
彼と和気藹々と話している内に，もう1人が私の部屋(仮)に入ってきた。